左から「永遠の17ちゃい」「MUZE」「チームぽんぽんぽんきちリブート1.1」
アントレプレナー賞 旭川高専「チームぽんぽんぽんきちリブート1.1」
次のプレゼンテーターはアントレプレナー賞を受賞した旭川高専(北海道)の「チームぽんぽんぽんきちリブート1.1」です。
タイトル
A to D for 上下水道3Dプラットフォーム
課題
「現在、上下水道管インフラが抱える課題として、次の4つが挙げられます。
- 工事時に掘り返してみないと分からない。
- 老朽化は激しいが、更新する財源がない。
- 積雪地域では圧雪で地面が見えない。
- デジタル化されていないデータが多い。
「現状、図面と実際に埋設されている位置が異なっていることがあり、電話線やガス管等の電報は共有されていないため、工事前に試してみる必要があるという問題があります。また、他にも財源不足や積雪による工事難、 デジタル化されていないデータが多いことも問題です。これらの問題から、上下水道管インフラは今後メンテナンスしていく上で危機的な状況にあると言えます」
提案
「メンテナンスにデジタルの力を取り入れる必要があると考えます。もしも埋没している水道管を可視化できるようになると、次のメリットが生まれます」
・ピンポイントな試掘工事が可能
・安全に工事が可能
・無駄な作業が減る
「水道管情報をデジタル化できるようになると、次のメリットが生まれます」
・水道菅浩二の工期短縮、効率化
・老朽化した水道管を効率的に交換できる
「これら水道化の可視化と水道管情報のデジタル化を、高専生のアイデアと技術力で解決します」
「チームぽんぽんぽんきちがこれまでに提案してきた上下水道3Ⅾプラットフォームは、各省庁の公開しているデータを自動的に変換し、取り込むことができます。 加えて、新規工事や更新工事において、現場でのデータ登録と修正を行うことで、3次元の水道管情報を全国規模で実現することができます。 また、実際に水道管が埋まっている場所で、スマホやタブレットを地面にかざすことで、登録されている水道管を3次元的に表示できます」
これまでに「チームぽんぽんぽんきち」が実現してきた「上下水道3Dプラットフォーム」には4大機能があり、(「紙図面からの3D上下水道管の作成機能」,「デジタル図面からの3D上下水道管の作成機能」,「3D上下水道管の表示機能」,「現場における3D上下水道管の登録機能」から構成)、今回はブラッシュアップした機能のプレゼンがありました。
まとめ
「(この機能によって)工事に携わる企業は、行政で別々に管理されているインフラ情報を取り寄せる手間を削減できます。 加えて地中インフラの位置情報を正確に把握できることで安全で迅速な向上を実現できます。さらに、地震等の大規模災害の迅速なインフラ復旧にも活躍できるシステムだと考えています。私たちのチームは、インフラテクコン初の起業を実現したいと考えています。上下水道インフラの未来は、私たちチームぽんぽんぽんきちリブート1.1にお任せください。また、起業も必ず実現いたします。ご清聴ありがとうございました」
チームぽんぽんぽんきちリブート1.1さん、ありがとうございました。地中のなかのインフラが分かるってすごい発想だし、技術ですね。インフラテクコン初の起業を宣言って、かっこいい! すごいエネルギーを感じました。
準グランプリ 徳山高専「永遠の17ちゃい」
続きまして準グランプリを受賞した徳山高専(山口)のチームで「永遠の17ちゃい」のみなさんです。
タイトル
JKが本気で描く、未来のゴミ処理インフラ ~めいどいん!とくやま 燃え燃えキュン💗~
課題
「今日、日本のゴミ問題現状は深刻です。 環境省によると、最終処分場の残余年数はわずか21.6年となっています。 提案の拠点となる徳山下松港は国際拠点としても発展しています。また、平成15年には徳山下松港はリサイクルポートに指定されており、カーボンニュートラルやSDGsの実現に向けたポテンシャルがとても高い港となっています。 周南コンビナートは、化学の力でゴミを再資源化、減量化するのが得意技で、廃棄物を新しい素材の原料として活用する技術の開発が進められています」
提案
「このような周南の地域産業特性や港が置かれている立地条件を踏まえ、県外から積極的に廃棄物を徳山港で受け入れ、それを資源として活用し、循環型社会を形成するための未来のゴミ処理インフラを提案します」
具体的には、課題となる徳山下松港におけるヤード確保、公共埠頭の過密化、廃棄物を継続的に受け入れるしくみについて、
- もらう(海上輸送)
- ためる(無人島の活用)
- つくる(ゴミ処理施設の新設)
これらを基本コンセプトに実現可能な提案として発表されました。
もらう(海上輸送)について
「船で運ぶゴミをもらうということで、災害発生時は流木や瓦礫を徳山港に船で輸送することで、 現地のゴミ処理問題を早期に解決します」
ためる(無人島の活用)について
「ゴミを溜める蛇島は徳山下松港の中心に位置していて、無人島に再び役割を与えることができるなど、多くの利点があります」
つくる(ゴミ処理施設の新設)について
「ゴミから電力を作る、原料を作る、人や経済の流れを作る、 新たな雇用を作るなど様々な意味が込められています。そして蛇島から工場跡地まで船輸送を考えており、工場跡地に各地から集客ができるよう、 よくできるようなおしゃれなゴミ発電施設を考えました。商業施設の併用も考えています。 ゴミ処理施設の建物体には、ゴミを再資源化してできたセメントを材料にします。さらに、全国各地からゴミを有料で引き受け、原料や素材にして売ることで、自治体と企業が一体となって新しいビジネスを生み出します」
まとめ
「本提案では、周南地域の強みを生かして4つの付加価値を見いだしました」
1)集団地域の収入源としての価値
「ゴミ発電で作った電気の売電収入、 減量化としての売却収入、廃棄物処理費などの継続的な利益を利益が見込めます」
2)工場夜景としての価値
「地域に活用されるゴミ発電施設や蛇島は、県外からの集客にもつながると考えております」
3)SDGsとカーボンニュートラルへの価値
「資源の有効活用による循環型社会の実現はSDGsやカーボンニュートラルの実現につながります」
4)周南地域の活性化に対する価値
「ゴミ発電施設や併用されている商業施設を運用することで、周南市に新たな雇用が生まれます。また、私たちは地域通貨システムを考えました。 施設にゴミを捨てたり送ったりすることで、地域通貨を入手できます。この際、正しくゴミを捨てることが重要になってきます。ゴミ収集で得た地域通貨は、周南市のお店でのみ利用できます。この地域通貨を消費するために周南市に足を運んでもらうことで、エコに貢献する、かつ地域の活性化にもつながります。また、地元の若い人が周南コンビナートや徳山下松港が社会に果たす重要な役割をしっか知るきっかけになること、知るきっかけとなることを願っています。これは、私たちがヒアリングした企業や官公庁の方々が口を揃えておっしゃっていた願いです。 以上で私たちの発表を終わります。ご清聴ありがとうございました」
永遠の17ちゃいさん、ありがとうございました。ゴミを受け入れて、付加価値をつけるって、すごい柔軟な発想です。実現したらいろんな都市の見本となるでしょう。すばらしい。
グランプリ 鹿児島高専「MUZE」
続きましてグランプリを受賞した鹿児島高専のチームで「MUZE(むぜ)」のみなさんです。
タイトル
生ゴミはゴミじゃない。
課題
「私たちの地元である鹿児島県には、ゴミリサイクル率が80パーセント以上を超える町、大崎町があります。現在は自治会や住民が中心となってリサイクルを行っていますが、 それまでの道のりは決して簡単ではなく、事前の説明会は約450回にもなったそうです。私たちは、この小さい町の事例を都市部で生かせないかということを考えました。 今回、私たちがインフラテクコンに参加するにあたって、日本やインフラ化を抱える問題点、課題点を上げたのですが、これらの課題点を解決する循環型マンションを私たちは提案します」
提案
「この循環型マンションは、ゴミのリサイクル、生ゴミと下水処理、人と人の交流という3本の大きな柱から成り立ちます。
1本目の柱 ゴミのリサイクル
「マンションの住民にゴミのリサイクルに協力していただきます。入居前にゴミのリサイクリングに関して合意していただきます」
2本目の柱 で生ゴミと下水処理
「生活排水と生ゴミのマンション循環システムのことです。各部屋に設置してある専用の配管に住民は生ゴミを流します。地下に流された生ゴミや生活排水は肥料や再生水となり、 屋上農園や植物工場に使用されます。この際、1本目の柱で住民がリサイクルした植物性のゴミを、肥料の水分量を調整する際に使います。 屋上農園や植物工場で栽培された野菜や果物は、低層階の商業施設や外部に卸されます。 この商業施設では、住民がお得に買えるようなキャンペーンを実施します」
3本目の柱 人と人の交流に
「マンションのエリアごとに自治会を設置します。 自治会の活動を通して、人と人との交流が生まれます」
まとめ
「このような循環型マンションが増え続けることで下水処理施設が細分化されます。
それにより下水管が少なくなります。維持管理するものをできる限り少なくすることで、現在、下水道が抱える課題を解決させます。
さらに自治会の活動や生ゴミの処理の過程で出た利益を住民に直接還元する仕組みを通して、環境問題やSDGsに対する関心を広げます。また、 植物工場や下水処理施設の管理を住民自らが行うことによって、 住民はマンションというインフラの管理を自ら行うことになります。
そうすることで、インフラのマネジメントやメンテナンスの必要性の意識や理解が広がります。
加えて、 住民同士の交流というのは、災害時にお互いが助け合えるきっかけとなるでしょう。 自分の身近に顔を知って話したことがあるという人がいるのは、災害時に自分の心の安心感を生んでくれると思います。
私たちは、下水道や日本全体が抱える課題にアプローチした鹿児島県大崎町の事例を都市部で生かす全管型マンションを提案しました。 プレゼンを終わります。ご清聴ありがとうございました」
MUZEさん、ありがとうございました。ゴミ問題解決にもちろん効果的なお話ですが、循環型マンションが増えると、互いに助け合う住人が増えて住民の付き合いが増えて挨拶が活発になりそうです。お年寄りやお留守番の子どもたちには特に居心地の良い、頼もしいコミュニティになりそうです。都市部に実現してほしい提案です。
イベントのプレゼンは以上になります。
未来の地球へ、SDGsについて、住みやすい環境など、とっても勉強になりました。
高専生はすごいぞ!
またレポートします。
このイベントの模様は下記で視聴できます。
(565) 【第4回】インフラマネジメントテクノロジーコンテスト2023 授賞式・交流会 – YouTube
インフラマネジメントテクノロジーコンテストについてのホームページはこちら
TOP – インフラマネジメントテクノロジーコンテスト (infratechcon.com)
おわり