SDGs 取り組んでいます!

高専生のアイデアがすごすぎるぞ!@インフラテクコン(前)

プレゼン大会が終わって

こんにちは。今日は東京・お台場の日本未来科学館7F未来館ホール・木星・土星・天王星で開催されるインフラマネジメンテクノロジーコンテスト、通称「インフラテクコン」の交流会の取材にやってきました。

インフラテクコンとは、街のインフラ(生活や産業の基盤となる設備)の課題を解決するアイデアを競う高専生を対象としたコンテストです。

今年で5年目を迎えるコンテストで、応募は29チームあり、そのうち入賞した9チームが日本未来科学館の未来館ホールに集結し、ここでプレゼンをしてもらうことがメインのイベントです。このほか授賞式、産業界との交流会も行われます。

高専生ってなに?

ちなみに高専生とは高等専門学校の学生のこと。

文科省のHPによると

高等専門学校は全国に国公私立合わせて58校あり、全体で約6万人の学生が学んでいます。

主な特色は5つ。

特色1 5年一貫教育

高校と同じく、中学校を卒業した人が入学可能。入学後は5年一貫(商船学科は5年6ヶ月)教育。

特色2 実験・実習を重視した専門教育

学んだことを応用する能力を身につけるために、理論だけではなく実験・実習に重点が置かれています。

特色3 ロボットコンテスト、プログラミングコンテスト、デザインコンペティション等の全国大会開催

全国規模で学生が日頃学んだ成果を競う全国大会が開催されています。

特色4 卒業生には産業界からの高い評価

卒業生に対する産業界からの評価は非常に高く、就職希望者に対する就職率や求人倍率も高い水準となっています。

特色5 卒業後、更に高度な技術教育を受けるための専攻科(2年間)を設置

本科を卒業後、更に2年間より高度な技術教育を行います。専攻科を修了すると独立行政法人大学評価・学位授与機構の審査を経て学士の学位(大学学部と同じ)を得ることができます。専攻科への進学のほか、大学に編入学することもできます。

 

要するに高専生とは、5年制の学校に通う、産業界から評価の高い学生たちなのです。

そんなとっても賢いお兄さん、お姉さんたちが考えたSDGsに繋がるアイデアを紹介しましょう。

全9チーム、前編、中編、後編の3回に分けて紹介します。

プレゼンの様子を要約してお届けします。

チャレンジ賞 長岡高専(新潟)「Be-Mice

最初のプレゼンテーションはチャレンジ賞を受賞した長岡高専(新潟)のチームで「Be-Mice」(ビーマイス)です。

Be-Miceの皆さん

タイトル

『はしをし! !~ スマートに「はし」を知ろう~』

課題

「みなさん、こんにちは。長岡高専Be-Miceです。よろしくお願いします」

元気な声で説明が始まりました。

「近年、建設業界では担い手不足の問題が深刻化しています。そこで私たちは市民向け体験型イベント『はしをし』を実施してきました」

「はしをしとは、様々な世代に建設業界やインフラメンテナンスに興味を持ってもらうためにBe-Miceが開催する市民向けの体験型イベントのこと。現場見学会をはじめ、コンクリートでキーホルダーを作ったり、レゴで作られた建設機械の操縦をしたりするなどいろいろな体験を行っています。

このイベントを通じて課題が見えてきたそうです。どんな課題なのでしょうか?

「専門用語がわからない、です。現場見学会で使われている専門用語は難しく、参加者が混乱してしまう傾向があります。 市民の方々に建設業界への興味を誘導することができましたが、 より詳しく建設業界について知ってもらうためには専門的な知識が必要であると感じました」

こうした課題を解決するためにBe-Miceが辿り着いたのが…。

提案

「私たちはスマートグラスを提案します。これが私たちが実際に組み込んだスマートグラスの3つの機能です」

ちなみにスマートグラスとは、頭部に装着して使用するメガネ型の端末のことです。メガネの内側にディスプレイが搭載され実際に目で見えている光景に重ねて情報を表示するなど、いろいろなことができます。

3つの機能その1 表示機能

「従来の現場見学会では、参加者が対象物を見た際にどのようなものなのか説明だけを聞いてもいまいちピンと来ないことがありましたが、スマートグラスを使うと対象物の情報が瞬時に表示され、参加者は対象物を見ながら資料を読むことができます」

この表示機能によって、専門家と初心者が同じ構造を見た時に、視界に共用の詳細な情報を表示することができるというスグレモノです。

3つの機能その2 音声機能

「従来の現場見学会では、会場が大きな工場になることがあるため、せっかく素晴らしい説明をされても聞こえない状況が多々ありました。ここで、スマートグラスを使用するとその場の音声を文字にリアルタイムに変換することができるため、作業音が大きい現場でも情報が伝わりやすくなります」。

3つの機能その3 辞書機能

「従来の現場見学会では、専門用語が多いため、参加者は説明に置いていかれてしまうという状況が頻繁に起こっていました。そこで、スマートグラスの辞書機能を使うことで、その場で分からなくても後から振り返ることができ、理解の手助けを行います。わからなかった単語は後ほど辞書機能で検索することができるほか、興味のある説明を何度も見返すことができるなどの機能があります」

さらにメガネ型端末のため、参加者は両手が塞がらないので安全性を保てるという利点もあるそうです。これ、かなり大事なことですね。

まとめ

「建設業界に興味を持ってくれた人たちにとって、現場見学会などで使われている専門用語は難しく、その魅力の10パーセントしか楽しめないことが課題でした。 そこで私たちはスマートグラスを現場見学会に提案し、参加した人が現場について理解しやすい環境を作ることで解決を目指します。スマートクラスにより、建設業界に興味がある人が現場の魅力をさらに感じ、 将来の日本のインフラを守る技術者を生み出すきっかけとなっていることでしょう。以上で発表を終わります。ご清聴ありがとうございました」

Be-Miceの皆さん ありがとうございました。

現場見学がもっとわかりやすかったら、興味や関心は高くなりそう。ぜひスマートグラス見学会を体験してみたいです。

Be-Miceのプレゼンの様子

 

チャレンジ賞 徳山高専「かえってきた☆けんせつ野郎&小町」

続きましてチャレンジ賞を受賞した徳山高専(山口)のチームで「かえってきた☆けんせつ野郎&小町」です。

かえってきた☆けんせつ野郎&小町のみなさん

タイトル

いつでも、どこでも、何度でも。~知っちょる?現場、やっちょる?フラNavi~

課題

「現在、山口県では建設業の担い手不足が深刻です。建設業界で働く人口は20年で40パーセント減少し、 他の業種に比べて若者や女性が極端に少なく、離職率も高めです。 また、学生の県内就職率が低く、これは建設業の情報はあふれていても実体験が乏しいからだと思っています。つまり、県内の建設業魅力ややりがいを知らないまま進路を決定しているのです」

こうしてチームで考えた結果、導かれた提案が「フラNavi」です。

提案

「フラNaviとは、その地域のインフラ現場をフラつと気軽にナビゲーションするために「いつでも、どこでも、何度でも」を基本コンセプトして設計され、産官学(企業・国や県など公共機関・学校)が連携し、主に山口県内の建設現場見学に関する情報を集約、発信する現場見学総合情報サイトです」

見学可能な現場の紹介、申し込み、現場見学への継続的な参加を促進させ、「人に関する好循環」生み出すことが目的だとか。建設業界の企業が現場見学を企画し、その情報をフラNaviで発信し、参加者を募り、関心を持った、あるいは興味半分でも気軽に学生が参加する。そして見学会が開催されるという仕組み。

「現場見学を行うことにより、学生は現場で授業の面白さを実感したり、 理解の向上につながったりします。また、企業や県(公共機関)は活力向上により離職率の低下につながります」
建設業の情報はあふれていても実体験が乏しい→それなら実体験を見学できる機会を増やしましょうという提案です。すばらしい!

フラNaviの主な特徴

  • マイページ機能

「参加者側のマイページでは、ユーザー情報や参加予定、参加済みの現場見学の情報を表示することができます。また、事前に配布された資料の確認や質問はこの画面から行います。主催者側のマイページの現場登録は、登録に必要な項目がテンプレート化されており、各項目に記入例が表示されているので、それに従って情報を入力することで正しく現場を登録することができます。 参加者リストについては応募確認ボタンをタップすると現在応募している参加者の情報が一覧となって表示されます。これはエクセルファイルとしてダウンロードすることが可能です」

  • アンケート機能

「開催予定の欄に現場見学の掲示板が作成されています。そこのお知らせ・資料のタグから、アンケートを作成することができます」
③ 検索機能

「ホーム画面にある地図上から応募受付中の現場を選択することで、行きたい現場を検索することができます。また、細かい条件を含めた検索も可能となっています」

まとめ

今後追加予定の機能の紹介があり、将来的な展望のコメントへ。

「フラNaviの実装に向けて、私たちは最低限の機能を持つベータ版の完成を目指し、令和8年度に本格的に運用を開始する予定です。ご清聴ありがとうございました」
かえってきた☆けんせつ野郎&小町さん、ありがとうございました。実現したら日本中の県で求められそうな機能です。実現が楽しみです。

かえってきた☆けんせつ野郎&小町のプレゼンの様子

 

中編に続く