2023年12月6日~8日、東京ビッグサイトで「エコプロ2023」が開催され、その様子のイベントレボートはすでに公開しました。
ところで、そのイベントと並行して東京ビッグサイトでは「社会インフラテック」、「カーボンニュートラルテック」、「自然災害対策展」の3つのイベントも開催されました。
エリアはエコプロのお隣で同じ会場になります。
こちらも興味深い展示が目白押しだったので、前後編に分けて紹介します。
前編は気候や災害、自然環境に関連した展示を紹介します。
では、参加企業別にみていきましょう。
◆スターライト工業
業界初となるバイオマス素材を使用した携帯用トイレを新開発したスターライト工業のブースです。
災害時に誰もが安心して使用できるトイレを設置することはとても大切なことです。
ここでは機能的なトイレの実物を展示していました。
どのように機能的なのでしょう。いくつか紹介します。
1)学校や自治体、企業が⻑期間備蓄しやすいようにコンパクトに設計されています。畳んだ時の暑さはスマホ1台分です。
2)トイレを囲む屋根と壁は、組立簡単で折りたたんだものを伸ばすだけ。素早く設置できます。女性2人で5分程度で完成できるそうです。
3)工具がいりません。
4)ステップが低い(車いすが楽々入室できるワイドタイプもあります)。
5)換気・脱臭センサーファンが付いていて、汚物の臭気や感染症対策としての換気にも活躍します。
6)ソーラー充電式夜間センサーライトで、夜はトイレの場所がわかりやすい。
などなど
このほか展示ブースにて、災害時のトイレについて覚えておきたい貴重な情報をクイズ形式で紹介していました。
例えば
質問「災害用トイレにはどんな種類がある?」
回答は「状況に合わせて4種類あります」
その4種類はこちら。
①携帯トイレ 使用場所は家、オフィスなど
②組立式簡易トイレ 使用場所は家、オフィスなど
③仮設トイレ 使用場所は避難所など
④マンホールトイレなど
スタッフさんによるとトイレ問題は普段から家族で話し合って心構えや準備しておくことが大事だといいます。
携帯トイレは常備しておいた方がいいなぁと思いました。
◆Woodinfo(ウッドインフォ)
業界で唯一のICT林業システム会社Woodinfoのブースです。
ICTとは「Information and Communication Technology」の略称で、日本語にすると「情報通信技術」という意味になります。
どんなことを出展しているんでしょうか。スタッフさんが答えてくれました。
「私たちは森林業や木材流通業に特化したソフトウェアを開発、提供している会社です。お客様(企業)が仕事を進める上で困っていることがあったら、まずその内容や要望をヒアリングします。私たちはその困りごとを解決するために森林や木材流通の現状の情報を集め、適切なシステム開発や様々なプロジェクトの実施をご提案しています」
この会社がいろいろやっているプロジェクトの中で、一番気になったのが「森林クレジットの創出」です。
森林クレジットの創出から販売までをワンストップで解決するというプロジェクトです。
森林クレジットってわかる人いますか?
これは森林の適切な管理を行うことによってCO2吸収量をクレジットとして創出されるという国が認証したものなのです。
この制度を活用して、創出されたクレジットを使い地球温暖化対策への積極的な取組のPRを行ったり、クレジットを他の企業などへ売って利益を得たりすることができます。
この会社では、そうして企業の森林クレジットの創出プロジェクトに関わり、すでに何件も進めているそうです。
時代の最先端。SDGs時代の考え方、お仕事だなって思いました。
◆戸田建設
戸田建設はその名の通り建設業の会社です。
「このブースは建設業として取り組んでいること。例えば、建築の技術だったり、土木の技術だったり、、それにプラスして環境に優しい技術だったり、環境に対しての取り組みだったり…を紹介しています」(スタッフさん)
具体的には高速道路の床版取替技術「すいすいC&T工法」や、工事中のトンネル坑内を自動巡回し監視するドローン、このほかに簡単で安全に接続できる「太陽光システム」、工事現場で発生する粉じんを抑える「ダストロングガード」などを出展。
そのなかでも見どころを聞いてみました。
「全部が見どころですが、弊社の技術研究所のオフィスにて運用中のグリーンオフィス棟のことは、ぜひ知って帰ってもらいたいですね」
グリーンオフィス棟はカーボンマイナスを目指して技術を結集した建物。
ZEB※を達成した上で、日常的にカーボンマイナスを目指すこと、さらに良好な室内環境などにより、健康的に働くことができるウェルビーイング(心身の状況と、自分の社会的状況)の向上をコンセプトにしているとか。
そのため建築、設備、さらには家具や備品にいたるまで、多くの技術要素や工夫を取り入れているようです。
さすがは建設業! とても素敵な研究所。こんなオフィスで働きたいなって思いましたよ。
※ZEB とは、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、「ゼブ」と呼びます。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。
◆クラウディオ
「気候変動の事業リスクをAIが予測~財務開示とレジリエンス強化~」がテーマのブースです。
とても難しい表現なので、わかりやすく説明してもらいました。
まず天気がお仕事に影響するって知っていますか?
例えば農家は常にその年の天気が影響して豊作や不作が決まりますね。このように天気、気候変動によって仕事の業績が左右される会社はたくさんあるのです。
そこで、このブースで紹介しているのが「気候変動対策」のサポートシステムなのです。
「気候変動対策は長期的な事業活動に大きく影響します。例えば、将来、ある条件を超えて気温が上がると洪水が起きる可能性も上がる。するとその土地の工場も浸水して生産が止まってしまう。商品を生産できなくなってしまえば会社は売り上げがなくなります。そうならないためにどうすればよいのか。その対策として将来の温度上昇によってどうなるかというシナリオに基づくリスクをAIが予測して、その影響を分析します。その結果をみて具体的な対策案を提案します」
気温上昇などの気候変動は日本だけでなく、世界中が抱える課題です。
小中学生のみなさんが仕事するようになるころ、もっと大きな気候変動があるのか、それとも世界の人たちがみんな努力して気候変動問題を解決するのか。
それは私たちみんなの努力によるものなで先のことはまだわかりませんが、気候を予測して経営を考えることは今よりもマストに」なってくるかもしれません。
◆インフラマネジメントテクノロジーコンテスト
インフラマネジメントテクノロジーコンテスト、通称”インフラテクコン”は「学びを活かして社会課題を解決するわくわく感を体験する」をコンセプトに、インフラの地域課題を解決するためのアイデアを競う高専生(高等専門学校)を対象にしたオンラインコンテストです。
このブースでは現在審査中の第4回応募作品を展示されていました。
ちなみに取材時点では審査中でしたが、後日最終審査発表がありました。
グランプリ
17.MUZE(むぜ)/鹿児島高専「生ゴミはゴミじゃない。」
講評(HPより)
「ゴミのリサイクル率の高い鹿児島県大崎町の取組みを応用した持続可能性の高い新しい循環型マンションの提案であり、新規性や実現性が高く、有用性も十分と評価される。ゴミのリサイクル、生ゴミと下水処理、人と人の交流が本提案の3つの柱であり、さまざまなアイデアを提案して問題を解決して点が評価できる。特に、小さな町の仕組みを地域交流が希薄な都市部マンションへ適用するアイデアが良い。また,関係する組織への訪問や技術者との意見交換を通して本提案の実現性について考察している点も評価でき、今後、社会実装されることが期待される。インフラマネジメントへの意識高揚に結び付けているプレゼンもすばらしい。」
準グランプリ
25.永遠の17ちゃい (えいえんのじゅうななちゃい)/徳山高専「JKが本気で描く、未来のゴミ処理インフラ ~めいどいん!とくやま 燃え燃えキュン💗~」
アントレプレナー賞(準グランプリと同格)
07.チームぽんぽんぽんきちリブート1.1 (ちーむぽんぽんぽんきちりぶーといってんいち)/旭川高専「A to D for 上下水道3Dプラットフォーム」
地域賞
01.早坂・大畑Lab. (はやさか・おおはた らぼ)/豊田高専「安全管理支援システムの開発」
02.犬猿雉 (いぬさるきじ) /香川高専「鬼退治!岡山の人食い鬼を倒せ!🍑」
08.Mr.HHH (みすたーとりぷるえいち)/石川高専「バンブーレスキュー~竹を用いた水道管の簡易復旧~」
31.PUNITTO (ぷにっと)/沖縄高専「まちの維持管理体験アプリ『オペメン』」
チャレンジ賞
19.Be-Mice (びーまいす)/長岡高専「はしをし!!~スマートに「はし」を知ろう~」
21.かえってきた☆けんせつ野郎&小町 (けんせつやろうあんどこまち)/徳山高専「いつでも、どこでも、何度でも。~知っちょる?現場、やっちょる?フラNavi~」
23.排水の陣 (はいすいのじん)/福島高専「RWPシステム 水がたまらないまちを作る」
後編に続く