2023年12月6日~8日、東京ビッグサイトで「エコプロ2023」が開催されました。
3日間の開催で来場者は延べ6万6826名。たくさんの人で賑わいました。その中には小中学生も団体様で来場。ノートを片手にあっち行ったりこっち行ったり、メモを取り、楽しみながら社会勉強をしていました。
「エコプロ」とは、環境とSDGsに関する日本最大級のエキシビションで、全国の企業、官公庁、研究機関やNGOが開発研究した製品やサービス、技術、アイデアを紹介、展示しています。
つまりここに来ると最新のSDGsや環境事情を知ることができるのです。
来場は無料。興味ある人なら行かないともったないないというイベントです。
というわけで、今回は昨年「エコプロ2022」版に引き続き「エコプロ203」のイベントレポートをお送りします。
前後編で前編はリサイクル系の展示を参加企業別に紹介します。
では、レポートのはじまり、はじまり~。
◆全国牛乳容器環境協議会
全国の乳業メーカーや紙パックメーカー、古紙原料・再生紙メーカーなど135の団体が連携している全国牛乳容器環境協議会のブースです。
この協議会で取り組んでいる大きな活動は「紙パックの回収とリサイクル」。
牛乳パックなどの回収ボックスは、最近よく見かけますが、実は回収率はそれほど高くないんだとか。
「回収率があまり上がってないんです。今のところ30パーセントの回収率で、そこから横ばいで伸びないのが現状です。これを50パーセントにしたいというのが私たちの目標です。紙パックを捨てないで再利用しましょう。そういう啓蒙活動をしています。紙パックを燃やすと二酸化炭素が発生します。再利用すれば二酸化炭素は当然発生しませんし、環境にも良い。それを広くお伝えしていきたい」(スタッフさん)
このブースでは、パネルやサンプルの展示をはじめとして、紙パッククイズラリー、動画の上映、さらにはノベルティグッズの配布などを催して、紙パックのことや、紙パックの回収とリサイクルの意義などが学べます。
子どもたちの見学で大人気のこのブース。見学する子どもたちを見てスタッフさんは目を細めます。
「最近の子供たちは、ほんとによくわかっていて、知らいないのは大人の方かもしれません(笑)。なぜリサイクルしたほうがいいのか、紙パックのリサイクルの方法とか、よく勉強しています。環境教育がすごく進んでいる感じがします。頼もしい子どもたちですね。50パーセントも夢ではないでしょう」
◆コンタクトのアイシティ
「アイシティ」は、HOYAアイケアカンパニーが事業展開するコンタクトレンズ専門店です。今年で創業50周年を迎えます。
そんな長年、コンタクトレンズに関わってきた「アイシティ」では2010年より業界初の使い捨てコンタクトレンズ空ケース回収活動「アイシティ ecoプロジェクト」を行っています。
プロジェクトを要約して説明してもらいました。
①空ケースをアイシティの店頭で回収。※アイシティ以外で購入したものも回収してくれます。
②回収した空ケースはリサイクル業者へ買い取ってもらい、そのお金を日本アイバンク協会に寄付。日本アイバンク協会は角膜移植とアイバンクの啓発、普及をしています。
③リサイクル業者に行った空ケースは加工されて再生素材になる。
④その素材は自動車や家電製品、ボールペンなどに生まれ変わります。
とっても社会の役に立つプロジェクトなのですが、まだまだ認知度、あるいは空ケースを回収する行為が定着していなのか、市場に出回っているコンタクトレンズの大体2パーセント程度しか回収できていないのが現状だそうです。
このブースではプロジェクトの紹介だけでなく、空ケースの回収体験も実施していました。
子どもたちがたくさん集まったブースで、スタッフさんに感想を聞きました。
「今回、ブースを出して良かったなと思っています。子供たちは親御さんや兄弟を見てコンタクトレンズのことを知っていてくれるので理解が早い。それにSDGsに対する知識や関心が高いので、積極的に質問もしてきます。この活動はSDGsの何番目ですかって言われたこともありますよ。私の子ども時代と比べると自分よりもはるかに理解力がある(笑)。とても頼もしく思います」
みなさん、空ケースはアイシティの店頭へ!
◆スチール缶リサイクル協会
使用済みスチール缶の再利用を研究し、社会貢献することを目的に活動している協会のブースです。
スチール缶の長所やリサイクルの流れ(リサイクルルート)など、パネルや現物を交えて紹介しています。
こんなことが学べました。
【長所】
1)スチール缶は、空気や水、光を通さない密封性の高さと熱や衝撃に負けない強さを持っています。
2)密封性が高いので飲料や食品など中身を長期間保存できる。→非常食にも向いています。
3)私たちの生活の身近なところで使われています。
3)スチール缶は鉄でできているので使い終わったら何度でもリサイクルできるので「リサイクルの優等生」と呼ばれています。
【リサイクルルート】
①使用済みのスチール缶が、例えばさまざまな素材のものが混じったゴミ箱に捨てられたとします。
②そのゴミ箱を回収したら、さらに分別しなければいけません。
③さまざまな素材のものが混じっていても、スチール缶は鉄でできているので磁石にくっつく特徴を生かしてスチール缶だけを選んで集められます。
④製鉄工場で再び鉄にリサイクルされます。
⑤リサイクルされた鉄は自動車や家電製品、鉄骨・鉄筋の建設資材など、鉄製品になって生まれ変わります。
使用済みになれば、また回収されて生まれ変わります。
◆甲子化学工業
ホタテの貝殻からできた環境配慮型ヘルメット「HOTAMET(ホタメット)」を展示しています。
とても「ユニークなのですが、そもそもなぜホタテ?」……。その答えがブースに来るとよくわかります。
「日本各地でホタテを加工する際に発生する大量の貝殻が廃棄されていて、それが有効活用されずに放置されているような状況です。もちろん処分していることもありますが追いついていません。放置されている例を挙げると、山積みが重なって3階建て4階建の耐え物の高さぐらいまで積まれた状態のまま放置されている所もあります」(スタッフさん)
あまりにスペースを占めるので置ききれなくなったものは、海外に輸出してそこで捨てているケースもあるとか。驚きの話を聞きました。そんな状況でホタテの貝殻を再資源化すべく立ち上がったのが「HOTAMET(ホタメット)」のプロジェクトだそうです。
「(甲子化学工業は)もともとプラスチックを扱うメーカーだったので、プラスチックと貝殻を組み合わせることでエコな素材を作れないかっていうところからこう始めました。そして、身を守るような防災グッズを作りたいと考えてヘルメットを作り、販売を始めたところです」
今後は、持続可能な社会の実現に寄与するためにHOTAMETの普及を広げていきたいそうです。
私たちも何か力になりたいと思いました。こういうヘルメットがある! そう誰かに教えることも普及のひとつです。
【実演もありました】
◆明治
チョコレートでおなじみの明治のブースです。
突然ですがチョコレートの原料って知っていますか?
答えはカカオです。
チョコレートを作ってもうすぐ100年になる明治は、カカオ産地が抱える社会課題の解決に向けて向き合っています。
「カカオは赤道付近、アフリカとか中南米でしか採れない原料です。その国々の生産工程はすべて手作業。そんな工程をこのブースでは体験を通して学んでもらい、さらにカカオ原産国の貧困や児童労働などの社会問題や、カカオのアップサイクルの取り組みを紹介しています」(スタッフさん)
体験コーナーでは、カカオの実を収穫してからカカオ豆になるまでの工程や、チョコレートの製造工程の一部を展示。カカオの実がチョコレートになるまでの工程を学びながらカカオ原産国の社会問題を知ることができます。
アップサイクルの展示コーナーでは、カカオ豆の皮を活用した資材などで作った 「カカオの部屋」を設置。
カカオがこんなことに再利用できるの? と驚きの展示でした。
楽しいブースはまだまだたくさんあります。
後編へ続く