2023年12月6日~8日、東京ビッグサイトで「エコプロ2023」が開催されました。
今回は昨年「エコプロ2022」版に引き続き「エコプロ203」のイベントレポートをお送りします。
今回は前後編の後編になります。様々な分野の最先端事情の展示を紹介します。
後編も参加企業別にみていきましょう。
◆カワグチマック工業
紙資材を使って家具や什器を作っている会社のブースです。
もともとはダンボールのメーカーで、紙の可能性を追求して家具や什器の生産事業が始まったそうです。
この会社が使用する紙資材はとってもSDGsなんです。
メリットを聞いたので挙げてみましょう。
1)科学繊維を使わず天然素材100%
2)古紙回収のリサイクル可能
3)丈夫なのに軽い
4)CO2を減らす
5)強い仕組み
6)加工しやすい
7)組立が簡単
8)長持ちする
そんな良いところをわかりやすく紹介するために「小学校の教室を紙資材で作ったらどうなるだろう」と、遊び心を交えて実現したのがこのブースです。
壁から机、いすなど紙でできた教室はひときわ目立っていました。
そんな楽しい空間で、SDGsネイティブとクイズを一緒に楽しむワークショップを開催していました。
この会社のオフィスでは、実際に紙資材のオフィス家具が使われているそうで、実用性は問題ないとのこと。
紙資材の可能性についてさらに面白い話を聞きました。
「今回のセットは白ですが、紙なので印刷加工も可能です。その土地、環境に応じて配色やイラスト、紋様も自由自在です」(スタッフさん)
こんな教室があったらと思うと、ワクワクしますね。
◆全国通運連盟/JR貨物
「鉄道コンテナ輸送」がSDGsの時代だからこそ見直されています。
輸送っていろんな手段がありますね。
トラックをはじめとする車や船、飛行機などなど。そのさまざまな輸送手段の中でCO2の排出量が少なく、環境に最もやさしい輸送手段と見直されているのが「鉄道コンテナ輸送」なのです。
また、「鉄道コンテナ輸送」は一度に多くの荷物を運べるため、輸送人員がトラックに比べると少ない人員で実行できるのです。そのため、近頃深刻化しているトラックドライバー不足対策にもなると考えられています。
そんな「鉄道コンテナ輸送」の仕組みや特長をパネル展示のほか、鉄道好きでお馴染みの俳優・六角精児さんによるスペシャルムービーで紹介。
ムービーは特に人気で、上映室の待機席は次の上映を待つ観客であふれていました。
このブースのシンボル的存在は12フィートコンテナ(ちなみに12フィートは3.6576m)の実物の展示。高くそびえるそのシルエットは 広~い会場でも遠くからもわかり、とても目立っていました。
せっかくなのでコンテナの積載量も聞いてみました。
「12フィートコンテナ1個で積載重量は5トンです。これ1個で中型トラック1台分と同等の量を輸送できます。貨物車両では一両にコンテナが5個乗ります。貨物輸送は通例一編成で20~25両が連なります」(スタッフさん)
中型トラックでいうと100台から125台分に相当します。すごい輸送力。トラックドライバー不足対策として注目が集まるのがよくわかりました。
◆女子美術大学
2023年に新設した共創デザイン学科1年生による、産官学プロジェクトや授業で取り組んだ内容を紹介しています。
その主な内容は複数の企業と連携して製品の製造工程で出てしまう工業廃材を使ったアップサイクルデザインの「学生作品」の展示です。
「製品を作るときに否応なく出てしまうゴミがあるんです。そのゴミにデザインを施すことによって、新しく素敵な価値を与える、素敵なものに変えるっていう活動をやっていまして、これがアップサイクルデザインと言います」(スタッフさん)
1年生の作品とは思えないくらい練られたユニークな作品がいっぱい。例えば車のシートベルトの廃材を使って、電車のつり革につかまる道具。シートベルトを使うとつり革に直接触らなくても利用できるスグレモノ。コロナ禍ならではの視点ですね。
ジーンズのバッグもインパクトがありました。
さらに注目したのは義肢装具作品の展示です。
「義肢装具は(必要とする)人数が少ないこともあって、できるだけ安価にするために黒一色だったりするんですよ。でも、女子はいろんなファッションしたいですよね。で、季節によって、イベントよってアタッチメントを変えることによって、おしゃれな靴に見えたりとか、和装にふさわしいデザインのアイテムとか。こういうアイデアを出し合って、作品を授業の一環で製作しています」
まだまだ授業のひとつだとか。ぜひどこかの企業と組んで商品化し、必要に思う人へ届いてほしいです。
◆びっくりドンキー
生物多様性ゾーンを歩いていると、なんだかおいしそうなブースを見つけました。
ハンバーグレストランで有名なびっくりドンキーのブースです。ハンバーグのお店と生物多様性ってどんな繋がりがあるの?
そんな疑問にスタッフさんが答えてくれました。
そもそもびっくりドンキーは農薬を省いたお米を使っているそうです。
「殺虫剤、殺菌剤は使わないで、除草剤1回以下で育てるお米を農家さんに作って頂いています。できるかぎり農薬を省くことで、安全で環境負荷の少ないお米を育てています」(スタッフさん)
無農薬は農家さんの手間がとてもかかります。農家さんの労働の負担も考えて、相談して辿り着いた「安全で環境負荷の少ないお米」なのです。2006年から始めているそうです。
大事なことは田んぼや畦などで殺虫剤を使っていないこと。そのおかげいろんな生き物がたくさん暮らす田んぼになっているそうです。
「そんな色々な生き物たちの力を借りながら農家さんは田んぼを作っています。例えば微生物が土をやわらかくしてくれたり、害虫と呼ばれる虫も寄ってきますが、害虫を食べるカエルやトンボがやってきたり。生き物のバランスが取れていることで、自然の力を借りながらお米を育てているっていうことをこのブースで子どもたちに伝えています」、(スタッフさん)
びっくりドンキーは自然の力を借りて育てられたおいしいお米を提供している。その自然の力、昆虫たちを紹介したいから生物多様性ゾーンなんですね。納得です。
ブースでは実際の田んぼの様子が伝わるように、ジオラマのような模型を設置。どんな生き物が生息しているかを紹介していました。
何も知らずに食べていましたが、いつものお米がこんな自然の中で育っているんだと思うと、もっと味わい深くなるし、大切に食べたくなります。
勉強になりました。
◆KOBELCOグループ
KOBELCOグループのブースに来ました。KOBELCOグループとは、 1905年創立の神戸製鋼所の製鉄業から始まり、鉄鋼アルミなどの「素材系事業」、産業機械やエンジニアリングなどの「機械系事業」、さらに「電力事業」など、さまざまな事業を展開している企業です。
KOBELCOならではの多様な人材や事業、技術のかけ算により、社会課題の解決に挑んでいます。
具体的にどのような活動をしているのかスタッフさんに聞きました。
「それぞれの事業でカーボンニュートラルへの挑戦とかSDGsの課題解決に向けた取り組みを進めています。例えば素材系事業だとCO2削減です。このブースで展示しているのは、主に機械系事業に関連したものになります」
ブースの中心で子どもたちの注目を集めているのは、パワーショベルのシミュレーターです。
見学者が実際にシミュレーターに重機の操縦体験できるので会場の子どもたちは興味津々。体験希望者が列を作っていました。
このシミュレーターの役割ですが、これで訓練することによって、作業者として一人前になるまで、すごく効率よく、これまでより短い時間で成長することができるそうです。人手不足解消策のひとつになるとか。
それともうひとつ、このシステムを利用して重機を遠隔操作で操縦できるそうです。例えば危険な場所で重機の作業をしなければいけない場合、重機の操縦席は無人で、安全な場所からこのシミュレーターを使って遠隔操作で作業を進めることもできるそうです。スタッフの安全を守ることに繋がります。
工事現場は、近未来のシステムが導入されているんですね。
レポートは以上です。
興味ある方はぜひ今年のエコプロに行ってみませんか!
おわり