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「若者が主役の環境保全活動アイデアコンテスト」@エコメッセ2023inちば(後)

こんにちは。

今回は千葉県にある日本最大級のコンベンション施設・幕張メッセで2023年10月15日に開催されたイベント「エコメッセ2023inちば」の様子をレポートします。

会場が広くて、出展ブースやプログラムが多彩なので、今回のイベントレポートは前・中・後編の3回に分けて紹介します。

最終回・後編の今回はこのイベントのなかで開催された千葉県主催の「アイデアコンテスト」の様子をお送りします。

 

どのようなコンテストなのか説明しましょう。

タイトルは「若者が主役の環境保全活動アイデアコンテスト」です。

千葉県が主催するイベントで、「次代の環境保全活動をリードする若手人材の育成を図るため、若者の創意工夫による環境保全活動のアイデアコンテスト」なのです。

応募資格は主に20代までの若者が主体となって構成される3名以上の団体です(グループの半数以上が20代までの人がいるなら年上の人がいても大丈夫)。

募集したアイデアとは、千葉県で行う環境活動で、実際に自分たちが取り組むことで、それを解決に繋げるアイデアです。

応募期間は2023年7月14日から9月19日。

これらの条件をクリアして、最終審査を通過した5組がエコメッセ2023inちばの会場でプレゼンテーションを行い、最終審査(来場者による投票も含む)を経て表彰者が決定します。

発表会の様子

では栄えある5組の発表者を見てみましょう。

発表内容は要約して紹介します。 

団体名1 成田日本茜復活チーム 千葉県立成田西陵高等学校園芸科作物専攻

企画名

蘇れ!耕作放棄地

~日本茜に託す私たちの想い~

企画内容

なんと! さきほど偶然にも取材した成田西陵高校の生徒たちです。最初は漫才風の演出から始まります。

「先輩の(巻いている)チーフ、素敵ですね」

「これ綺麗でしょ」

「とてもお似合いですよ。皆さん、日本茜を知っていますか」

と、日本茜で染めたチーフの話題から日本茜の説明に入ります。

課題

日本茜は自然環境や体にも優しく、日本で昔から使われている植物染料の1つで、体を温める効果もあります。でも、最近は自然に生息することが難しくなってきています。そこで、日本茜の栽培を通して環境保全活動を目指す取り組みについて課題を設定しました。

人が管理しなくなり、耕作放棄地となった里山では、農業の多面的機能としての役割が減少します。農業の多面的機能とは、国土や自然環境の保全、洪水の防止、伝統文化の継承などがあります。 しかし、耕作放棄地が増えることで、この多面的機能が減少します。
里山は人間が介入して管理することで動植物が増え、生態系や生物多様性を保持できます。食料生産だけでなく、農業の多面的機能を維持でき、生態系を保持できるのです。
「そこで私たちは、農業を学んでいる高校生たちだからできる取り組みを考えました」

解決策

環境保全ポイントその1
自然環境や体にも優しく、日本で古来から扱われている植物染料の1つである日本茜を再開します。
環境保全ポイントその2

環境保全型農業に取り組みます。

環境保全ポイントその3
綺麗な赤色の日本茜染めの素晴らしさを普及させて次世代へ継承し、伝統文化の復活を通して地域活性化を目指します。
環境保全ポイントその4
(国際空港がある)国際都市である成田の力、成田の日本茜染めの素晴らしさを世界へ発信します。
などなど。

 

 

団体名2 学生団体グリーンベース

企画名

里山活用コミュニティ

「グリーンベース」

企画内容

循環する里山保全活動と若者をターゲットとした里山活用コミュニティの形成についての発表です。

スタディーツアーでさまざまな場所を巡ったというみなさん、そこでみつけた課題を2つ挙げました。

課題1

「里山の保全と活用が不十分」

里山は、生物多様性の観点や、里山からの自然資源の影響などの循環において、とても重要な役割を果たしています。しかし、近年、里山保全活動に従事する人が減少し、里山が荒れてきてしまっています。1度、人の手が入った里山は、 継続的に人が管理しなければ、どんどん荒れていってしまいます。
課題2

「里山保全活動の担い手不足」

里山保全活動の従事者は平均年齢が80歳を超えていて、さらに後継者が見つかっておらず、 その団体の活動存続のそのものが危うい部分もあると言います。
解決策

里山をただ自然環境保護するだけの目的ではなく、若者が自然体験に参加する機会とすることでこれらの課題を解決していける。そうして多くの若者に関わってもらい、活動を継続させていくとともに、さらに拡大していき、より面白く、よりたくさんの人が環境活動に関わってくれるような環境、コミュニティを作りたいです。

などなど。

 

団体名3 学生ボランティア企画集団NUTS

企画名

江戸川クリーン

企画内容

千葉県と東京都の県境を流れる江戸川の清掃活動についての発表です。

活動場所は江戸川沿いの市川駅周辺。毎月1回の第3土曜日に行っています。このほか花火大会の翌日など、ゴミが増える日には特別にその日にも活動します。

活動を行う際の工夫点については、2点あります。

1つ目は、活動を効果的にすること。

効果的にするためにまず活動場所の精査を行いました。 現在活動を行っている市川駅周辺は、江戸川沿いの中でも比較的綺麗な地域です。河川では、ゴミが溜まる場所は大体決まっているので、各ポイントでどんなゴミの種類があるかを細かく記録して、ゴミを拾うだけではなくて、どのようなごみ箱を設置したらいいかとか、何が原因でゴミが増えているのかと考えると、根本的な解決策を得られるのではないか。

2つ目は、活動規模の拡大です。
参加しやすい仕組み作りを考えています。 何故かというと清掃活動に参加するにあたってトングだったり、ゴミ袋が必要であったりするが、それだけで少しハードルが高かったりします。それに江戸川までは遠いから交通費が結構かかってしまうという学生も多くいます。交通費の支給や、手ぶらでオッケーな仕組みを整えることで、参加のハードルを下げることができないかなと考えました。

などなど。

団体名4 千葉大NESO

企画名

地域の特色を生かした自然体験型

学習プログラムの画策

企画内容

近年、地球規模で様々な環境問題が深刻化しています。海洋の汚染や森林の伐採、砂漠化や地球温暖化に伴う生息域の減少など、様々な例が挙げられます。 このような状況を受けて、日本国内での環境問題に対する関心は年々高まっており、SDGsという単語の認知度は年々増加傾向にあります。

一方、日本国内の環境問題で危機的に思う事項についての調査では、項目によって関心に差があります。気候変動や環境汚染が注目されるのに対して、 国内での生物多様性に対する関心は非常に低い。

また、生物多様性保全のための取り組みに関するアンケート調査では、取り組み状況として「取り組みたい行動はあるが行動に移せていない」と答えた人の割合が全体の33.7パーセントと最も高い割合を示しました。

保全活動を制限する要因は「体力や時間がない」ことに次いで「何をしたらいいかよくわからない」と答えた人が全体の半分を占めました。 以上のことを踏まえまして、関心を具体的な行動にリンクさせるためのきっかけ作りが必要であるということを感じました。

などなど。

関心を行動にリンクさせるためのアイデアを発表してくれました。

団体名5 あおぞら図書園

企画名

もったいないを1冊に。

~牛乳パック和紙で本をつくろう~

企画内容

使い終わった牛乳パックで和紙を作り、その和紙で本を作る。そのような経験を通して、 子供たちに楽しくリサイクルに触れてほしいという企画です。
「突然ですが、皆さんは日常生活でもったいないと感じることはあるでしょうか」

例えば、賞味期限切れや作りすぎで廃棄されることになった食品、電気の無駄使いや過剰包装などが挙げられると思いますが、千葉市のリサイクル率はまだ3割ほどにとどまっている。それが一番私たちにはもったいない。

リサイクル率を少しずつ上げていこうという目標があるので、何もしないままではもったいない。
このようにもったいないと思う心が浸透しきっていない。そんなふうに感じられるのがもったいない。
こうした考え方は、大人になってからでも身につけられることができると思いますが、 小さい頃からの習慣が大切だと思います。そのために私たちは 牛乳パックで本を作るという体験と、それを形にして残すことで、より習慣化に繋げていきたいと考えています。
などなど。

イベントやワークショップの開催などさまざまなアイデアを披露してくれました。

発表は以上です。

駆け足で紹介しましたが、みなさんとても活動的でエネルギッシュ。観客はどのチームにも1位になってほしいと思ったはずです。

それぐらい素晴らしい発表でした。

こういう発表会が千葉県だけでなく全国大会規模で盛り上がったらいいなとも思いました。

みなさんならどんな発表をしますか?

それともやりたいと思うテーマはありますか?

考えることが大事です。

さて気になる表彰はどうなったのでしょう。結果は……

結果発表

1位:成田日本茜復活チーム 千葉県立成田西陵高等学校園芸科作物専攻

2位:学生団体グリーンベース

3位:千葉大NESO

成田日本茜復活チームのみなさん、1位おめでとうございます。漫才風のツカミ、良かったですよ。

参加者のみなさんも素晴らしいアイデアありがとうございました。

お疲れさまでした。

 

 

前・中・後編に分けて紹介した「エコメッセ2023inちば」のレポートは以上です。

盛りだくさんの内容で

「自分も何か始めたくなる」

そんな刺激を受けたイベントでした。

ちなみに来年のエコメッセちば2024」は2024年10月20日(日)幕張メッセ国際会議場で開催されます。

興味ある人はぜひ遊びに行ってみませんか!

 

またレポートします。