こんにちは。今回は「循環縁日~大人も子どもも楽しく資源循環を体験できる縁日~」のイベントレポートの後編です。
東京駅にほど近い丸の内仲通りで開催された、大丸有SDGs ACT5実行委員会主催のイベント。
前回は紹介したのは
【プラスチックのアップサイクル体験ワークショップ】コーナー。
【社会課題の解決につながる「おみやげ」ショップ】コーナー。
後編はこちらから。
IDEAS FOR GOOD Museum
【IDEAS FOR GOOD Museum】コーナー。
サブタイトルは循環をデザインする世界のアイデア展。
「循環」をメインテーマにして、思わず手に取りたくなるクリエイティブでサステナブルな製品を厳選して展示。アップサイクル製品はじめ、生分解性製品などが「なるほど~」と感心するさまざまな切り口紹介されていました。
ちなみに「IDEAS FOR GOOD」とは社会課題をクリエイティブに解決する世界のアイデアマガジンで、今回は三菱地所とのコラボレーション企画。
そもそも三菱地所の社内に 「オフィスの一角をミュージアムに」をコンセプトにIDEAS FOR GOODと連携して始めた展示企画だそうで、世界中から選りすぐったユニークでサステナブルなアイテムを見て、触って、体験できるのが特徴だそうです。つまり三菱地所の社員さんに向けてSDGsについてもっとよく知ってもらい、アイデアのヒントにつなげてもらおうと、ユニークな展示コーナーを社内の一角に作ったのだとか。
今回は社員さんが見ているそのミュージアムを特別にスピンオフ企画としてそのまま出展。社員さんの勉強用に厳選された展示物は興味深いです。
その中からいくつか展示を紹介しましょう。
一つひとつの製品にアイデアや工夫があり、とっても勉強になりました。
展示「UPCYCLING(アップサイクル)」
捨てられるはずの廃棄物に、デザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせること。クリエイティブ・リユース(創造的再利用)とも言われているそうです。
展示されているサステナブル製品は、海に流出する前のプラスチックごみで作られたバービー人形「Barbie Loves the Ocean Collection」や、ヨーロッパ全土のホテルから回収しベッドシーツで作ったアップサイクルシャツ「Archivist(ア―カイヴィスト)」、廃タイヤで作られたバリ島発のサンダルブランド「indosole」など。
展示「BIODEGRADABILITY(生分解性)」
バクテリアや菌類などの微生物によって、有機化合物が水や二酸化炭素といった無機物まで分解されることです。石油性プラスチックなどの化合物は生分解性が低く、例えば飲料用のベットボトルは、分解されるまでに約450年かかるともいわれているそうです。
展示されているサステナブル製品は、プラスチック包装の代わりになる“海藻”包装の「Notpla(ノットプラ)」や、土に埋めると花が咲く、100%生分解性のマスク「Marie Bee Bloom」、水に溶けて消えてしまう香港発のビニール袋「#INVISIBLEBAG」など。
展示[PRODUCT LIFE EXTENTION(製品寿命を延ばす)」
製品を長く使うことは、資源を大切に扱うことにつながります。修理やメンテナンスのほかにデザインの力を駆使して再生した事例もあるのだとか。
展示されているサステナブル製品は、ロンドン発の子どもと一緒に成長する子ども服「プチプリ」。折り紙の技法を応用して開発された服で0歳から3歳までの子どもの成長に合わせて着続けることができます。軽量で丈夫なのが長持ちを後押しします。
展示「DIVERSITY(多様性)」
組織やグループなどで多様な人材を登用し、さまざまな意見を取り入れたり、それぞれが持つ違った能力を生かしたりすることで、組織の競争力を高めようとする取り組みです。
展示されているサステナブル製品は、イギリスのLGBTQ+歴史博物館「Queer Britainのミュージアムグッズ」。Queer Britain は2022年夏にオープンしたイギリス初のLGBTQ+ミュージアム。このほか時間に“さわれる”腕時計、「Bradley Timepiece」は、文字盤のポールは「分」、側面のボールは「時間」を表していて、これに触るだけで、眼で見なくとも時間が分かるようになっていて斬新。目の不自由な方もそうでない方も利用できる、障がい者と健常者の垣根をなくす製品です。
などなど…SDGsをテーマに世界中の人がアイデアを出して興味深い製品を生み出しています。
つくづく人間の知恵に限界はないんだぁと思いました。
みなさん、アイデアは無限ですよ!
廃材アップサイクル体験「どこでもリンネバー」
続いて最後のコーナーへ行ってみましょう。
【廃材アップサイクル体験「どこでもリンネバー」】コーナーです。
アップサイクルなモノづくり活動を続ける「リンネバー」が出店。ここでは普段モノづくりに関わる経験がない人でも、簡単な廃材アップサイクルを体験できるワークショップを開設していました。今回は、コラージュカード、端切れのコサージュ作りやKOPPA(木製人形)作りのワークショップを開催していました。
コーナーの正面にはアップサイクル体験が自宅でもできるように、廃材グッズの手作りキットも販売していました。キットに入っている素材は不用品を誰かのモノづくり役に立ってほしいとリンネバーの活動に共感した人たちからの寄付されたもの。布や木っ端など、商品を眺めていると創作意欲が高まります。何かを作りたいという気持ちって、SDGsですね。
ワークショップを見ると、コラージュカードづくりの最中でした。広告チラシの紙など、捨ててしまう紙を利用して切ったり張ったり、思い思いのデザインをほどこして世界で一つしかないカードをみなさん作っていました。
このなかからコメントもいただけました。
アオイくん(5才)です。
─ワークショップ楽しかった?
「うん」
─どんなところが楽しかったの?
「これ作ったところ」とカードの中の星を指さす。
「(コラージュ素材の)星を作る時に(文具で)パチンと紙を型抜きするところが良かったのよね」とママさん。
「そう」と、うなづくアオイくん。
─今日の作品の点数は何点ですか?
「わかんない!」と笑顔
─どういうふうに作りたかったの?
「星をいっぱい作りたかった」
どうやら型抜きが楽しかったようです。
─こういうイベントがあったらまた来たいですか?
「うん」
作ったカードをとっても大事そうに持っていたアオイくんでした。ありがとう。
最後にイベントの主催者のスタッフさんに話を聞きました。
─開催のきっかけは何でしょうか?
「はい。もともと街の皆さんにSDGsを楽しく体験いただきたいと思っていました。ただ、普通に紹介するだけだと企画としての引きが弱いのかなって。そこで何かプラス要素が欲しいと思っていたところで辿り着いたのが循環というテーマです。私たちは仕事で循環経済について、ずっと関わってきたので、これを軸にイベントを展開できないかと考えました」
─循環縁日というイベント名が親しみやすいですね
「開催期間がちょうど夏のこの時期だったので、お祭りっぽくやれたらいいなと思っていました。お祭りと言えば縁日。そのキーワードが浮かんだのでお祭りのようなワクワク感を感じさせるような会場づくりを心がけました。まず見てもらって触れてもらって遊んでもらって楽しんでもらう、知ってもらうのはその後で良いです(笑)SDGsを五感で感じてほしいです」
─その思い通り、ゲストのみなさんは楽しそうです
「そうですね。親子連れの方がたくさん来ていただいて、特に土日は多かったですね。あとご夫婦とか、外国人観光客の方も足を止めてくれました」
─イベントを開催してどのような感想をお持ちですか?
「やってよかったです。どこかの会場を借りるとか、セミナー系のSDGsイベントも行っているのですが、こうしたストリートで行うイベントとは客層が異なります。ストリートの場合は、SDGsにまったく関心がなかった人も通り過ぎる。そんな方が足を止めていただいてみてもらう。これは大変意義のあることだと思います」
ありがとうございました。
会場スペースは決して広くはないのですが、それぞれのコーナーが人を楽しませる工夫が充実していて、一度足を止めると没入してしまってなかなか通り過ぎることができない、ゲストを夢中にさせるイベントでした。
通りがかりで足を止めてスタッフとおしゃべりしたり、体験したり、展示を読んだり、長~く遊んでいた人たちをたくさん見ました。
今後もイベントをやりたいそうなので要チェックです。
大丸有SDGs ACT5公式ホームページはこちら
またレポートします。
本文中に紹介した企画協力企業の紹介
ハーチ株式会社(IDEAS FOR GOOD Museum/企画運営協力)
https://harch.jp/
株式会社湘南貿易(プラスチックのアップサイクル体験)
https://www.shonantrading.com/index.html
株式会社 Innovation Design(「おみやげ」を通じて社会課題を目指すショップ「haishop」)
https://www.innovationdesign.co.jp/
株式会社RINNE(廃材のアップサイクル体験)
https://www.rinne.earth/
おわり