SDGs 取り組んでいます!

没入感がヤバい! SDGsカードゲーム見つけたよ

こんにちは。今回は「彩の国」埼玉県の北東部に位置する加須市にやってきました。ここは関東平野のど真ん中にあり、群馬県と栃木県、茨城県に隣接している町です。

訪ねたのは埼玉県環境科学国際センター

 

 

環境科学国際センター。敷地内は自然豊かで散策にも最適

ここは身近な環境問題から地球規模での環境変化への対応まで、研究や学習、情報発信などに取り組んでいる施設です。

自分たち職員が研究するだけでなく、来訪者に対してわかりやすく楽しく地球環境を理解してもらえるよう、見て触れて考える体感型の「展示館」や昭和30年代の埼玉県東部の里山をモデルにした「生態園」があり、イベントもたくさん催されています。

「SDGsってなぁに? カードゲームでSDGsを学んでみよう」

今回はそのイベントの一つとして開催された「SDGsってなぁに? カードゲームでSDGsを学んでみよう」を取材しに来ました。

どのようなイベントかというと

「2030年に私たちの世界はどうなっているの?」をテーマにSDGsについて、カードゲームを通して、SDGsへの理解や自分たちに何ができるのかなどを、SDGs公認ファシリテーターと一緒に考えるという内容。

分かりやすくいってしまうと、楽しいカードゲームで遊びながらSDGsが学べてしまうという、とっても「得」しかない企画なのです。しかも無料!

参加対象は小学4年生~中学生(小学生は保護者同伴)。

家族で参加する人が多いようです。

 

ゲームスタート

さて早速、ゲームに参加してみましょう。

進行と講師を務めるのは2030SDGs公認ファシリテーターの竹元紳一郎先生。

竹元紳一郎先生の講義

最初はSDGsの基礎知識をわかりやすく講義してもらいました。

講義の中で、印象に残ったのは7月28日というキーワード。

なんだかわかる人いますか?

アースオーバーシュートデイ

先生の説明によると

私たち人類が 地球1個分の資源で暮らせる量を1月1日から12月31日までで表すと、使い切ってしまうのが2022年だと7月28日なんだそうです。1月1日から使い始めて約8カ月で資源がなくなってしまうんですね。この日をアースオーバーシュートデイと言います。毎年発表されるので、今年は何月何日か?気にしてみてください。

「だから2022年の場合7月29日以降はですね。負債なんです。翌年の資源を借りている状態です」(竹元先生)

現在の状況で見ると年間の資源は、およそ地球1.75個分ないと暮らせない生き方を地球人はしているのだとか。

 

お小遣いで置き換えたらどうですか?

前借りし続けることを考えたらわかりますよね。いつか大変なことになります。

では、お小遣いの前借りをやめるにはどうしますか?

まず、無駄使いをやめますよね。

それこそがSDGsの基本的な考え方なのです。

 

7月28日がみんなの努力で7月29日、7月30日と使い切る日が1日1日と延びていくといいですね。

もちろん12月31日が目標ですが、まずは一歩一歩、できるところから始めましょう。

 

さてさてゲームです。

プレイするのは「2030 SDGs」

この日、プレイするのは「2030 SDGs(ニイゼロサンゼロ エスディージーズ)」というカードゲームです。

2030年までをゴールと設定して、人生のゴールと世界のゴールをできるかをシミュレーションする内容です。

「2030 SDGs」のカード一式。一般には販売されていない

それぞれのチーム(もしくは個人)にゴールが設定されます。これが人生のゴールとなります。

配られた紫色のゴールカードを見てみると、そこにはそれぞれの大事なものが書かれています。

「人生はお金が一番大事と思っている人がいます。その一方でお金より時間の方が大事って思っている人もいます。それよりも貧しい人を減らしたいなって思っている人もいれば、自然を守ることが大事だという人もいます」(竹元先生)

 

人それぞれ大事なものって色々ありますよね。それが現実です。その世界観をゲームの世界で再現します。

たとえばプレイヤーが「大いなる富」というカードを持つと「お金が一番大事という価値観を持った人」となり、そこに書かれた目標がゴールになります。

「悠々自適」というカードを持つと「時間がゆったりたっぷりあるのが幸せだという人」となり、そこに書かれた目標がゴールになります。

このほかに、貧困をこの世からなくしたいという人や環境を守りたいという人などの複数の目標があります。

「貧しい人が減りますように」という紫のカード

これらの目標を達成できるかどうかがこのゲームの基本です。

ただ、簡単には達成できないところがシミュレーションゲームの面白いところ。

世界のゴールも同時に目指さないといけません。

与えられたお金と時間を使って、プロジェクト活動を行って、より良い世界を目指します。

 

このほか参加者にはこのようなカードが配られます。

「お金」

「タイムカード」(2030年までの有効期限)

「活動カード」(さまざまなプロジェクト)

お金カード

活動カードには、こんなプロジェクトが書かれています。

たとえば「交通インフラの整備」。

このプロジェクトを実行するために、「使うモノ」として「お金」カード500と「タイム」カード3が必要になります。

それらのカードを使って(事務局に払いに行きます)プロジェクト活動を行うと、交通インフラが整備されます。

すると経済が循環して移動時間が短縮されるので、「もらえるモノ」として「お金」カード1000と「タイム」カード1がもらえます。

活動カードの説明の様子

プロジェクトに必要な、「使うモノ」のカードが足りないとプロジェクトは実行できません。

手持ちのカードと実行可能なプロジェクトをやりくりしながら新しい活動カードをもらい、それをくり返しながら社会の状況を少しずつ変えていき、2030年を迎えます。

活動カードは3色。青はお金(経済)、緑は自然(環境)、黄は社会(安心)

ゲームを進める上でもう一つ大きなポイントは、ホワイトボードに張り付けられたマグネットです。

ホワイトボード

これは参加者全員でいま創り出している世界の状況を表しています。

青はお金(経済)、緑は自然(環境)、黄は社会(安心)です。

例えば「交通インフラの整備」の場合であれば、青の経済がプラス1、緑の環境がマイナス1になり、ホワイトボードマグネットの数が変わります。

このマグネットの数が最終的にどうなるのか。

それがこのシミュレーションゲームの結論になります。

参加者の勝ち負けは問いません。

本来は経済、環境、社会のマグネットの数が多い世界が理想です。

経済が多くて環境は少ない。環境は多いけど社会は少ない。それはどんな世の中ですか。

参加者たちはどのような社会を作るのでしょうか。

ざっくりですがルールはこんな感じです。

 

このゲームは大人も楽しめるもの。今回は子供向けでしたが、ただ、フリガナや表現が柔らかくなっている程度で内容は大人と向けとほとんど変わらないとのこと。

家族で参加してもみんなで夢中になれます。

参加者がリアルに「世の中」を形成していく

ゲームが始まると、最初はルールを把握するためにみんな戸惑っていましたが、徐々に活気を帯びてきました。

事務局に積極的に行く人、人生のゴールと活動カードとのバランスに悩む人、お金に執着して動く人、あるいはやりたいことが分かっていてもお金が足りない人、それぞれの動きがリアルに「世の中」を形成していきます。

事務局は竹元先生が担当します

誰かが動くとホワイトボードに張り付けられたマグネットの数が変わります。プラスになったり、マイナスになったり、先が読めません。

 

事務局の後、自分が達成した活動カードの加点減点の点数をマグネットに反映

ゲームは前半、後半で行いました。

正直、ゲームへの没入感がすごくて、あっという間に時間が過ぎます。

めちゃくちゃ夢中になれます。

個人的な感想では学校のクラス全体でやると超盛り上がりそうです。

ゲーム開始から終了まで座っている人がいない

そして終了。結果が出ました。

参加者たちが作った2030年の世界の状況はこちら。

ゲームの結果

結果発表

お金(経済)14

自然(環境)4

社会(安心)12

 

経済重要視型の世の中になったようです。

お金と社会は良いけど、自然環境はあまりよくなさそうですね。

 

このゲーム、とある国で行ったら自然だけの数字が延びたり、お金だけが多かったり、極端な例も出てきたりするそうです。

さらには100人くらいの大人数の際は50人、50人に分かれて別々に行ったら、同じ説明同じ会場で行ったのに、真逆の結果が出たこともあったそうです。

 

今日と同じメンバーと次の機会にゲームしても同じ結果になるとは限りません。

没入するゲーム内容も面白いですが、夢中になった末にどのような結果が待っているのか、それも楽しみでしょうがないです。

 

参加者全員が「もう一度やりたい」って言っていました。

みんなが思うことは「次はうまくやる」って(笑)。

 

その次の機会って、今私たちが生きている現実の社会にも活かせますよね。

ゲームの教訓を生かして、「うまく」やりたいです。

結果を受けて、まとめの講義もわかりやすく説明

主催した埼玉県環境科学国際センターのスタッフさんからコメントもらいました。

─イベントを開催した感想をもらえますか

「本当に面白いゲームです。これがきっかけとなって参加した方たちがSDGsに興味を持ってもらえたら一番嬉しいです」。

─このイベントを開催するきっかけは何でしょう。

「特別企画としてSDGsイベントを開催するのは初めてです。SDGsは今話題になっているテーマ。皆さんに知ってもらいたいなってところから始まりました。このゲームはとても盛り上がるので、ゲームを通してもっといろんな方にSDGsについて知ってもらえるようと願っています」

─今後、このようなイベントの予定はありますか。

まだ予定はないですが、参加した皆様からとても良い感想をいただいていますので、今後また開催を検討していきたいと思います。また、さまざまなイベントとも行っていますので埼玉県環境科学国際センターのホームページをチェックしてください」

ありがとうございました。

 

 

埼玉県環境科学国際センターのホームページはこちら

https://www.pref.saitama.lg.jp/cess/index.html

 

2030SDGs公認ファシリテーターの竹元紳一郎先生のホームページはこちら

https://www.synapse-llc.co.jp/

2030SDGs公認ファシリテーターとは「2030 SDGs」ゲーム使ってワークショップを開催できる講師のことです。2030SDGsカードゲームをはじめ「2050カーボンニュートラル」ゲーム、直径1.5mのピザを作る組織開発研修などさまざまな研修、コンサルティング事業を行っています。

このゲームは一般販売していないので、体験したい方はぜひチェックを。

 

 

またレポートします。

 

おわり