こんにちは。今日は東京・市ヶ谷駅の近くにある「JICA地球ひろば」にやってきました。
JICA(ジャイカ)とは、独立行政法人国際協力機構のこと。主な仕事は日本の政府開発援助(ODA)機関として、開発途上国への国際協力を行っています。
JICA が運営するJICA地球ひろばは、さまざまな国際協力活動を応援し、国際協力に参加する人たちが増えること、さらには市民による国際協力がより活発になるために作られた施設です。
開発途上国の人びとへの共感や連帯感を育む「広場」としての役割を担い、ここを訪れると国際協力に関わる団体の情報発信や情報収集ができるだけでなく、同じ志を持った人たちと交流をすることもできます。
また、平日の夜や、週末にはさまざまなイベントやセミナーを開催しているのも特長の一つです。
知る人ぞ知る、穴場的なスポットで、全国から訪れる修学旅行生やNGO・市民団体の施設利用者が2023年4月現在は累計250万人に迫る人気ぷり。
そんなJICA地球ひろばで2023年2月21日から6月15日まで「世界をめぐる!サステナブルなやさしい観光展」が開催されています。※現在は開催されていません
今日は、このイベントの様子をお伝えしたいと思います。


ではレポート開始です!
ところでSDGsと観光って、どんな関係があるのか、わかる人いますか?
実は、とっても結びつきが深いのです。
そもそも日本国内はもちろんのこと、世界には素晴らしい風景や史跡など、数多くの観光地がありますね。
旅行会社やホテルなど観光に関連したお仕事(観光産業)は、世界の雇用の約10%を占めているって知っていましたか?
世界の10人に1人が観光産業で働いているのです。すごいですね。それほど経済に大きく影響する業界なのです。
ちなみに観光産業で働くトップ3は
1位 インド 3869万人(2018年調べ)
2位 アメリカ 612万人(2019年調べ)
3位 日 本 589万人(2019年調べ)
※4位以下が気になる人はぜひ訪ねてみてください。
でも観光産業は良いことばかりでありません。
経済効果がある一方で、たくさんの観光客が押し寄せてしまうことで、自然環境に悪影響を及ぼし、人が立ち入ることで史跡や自然の風景などの大切な観光資源が今の状態のまま守り続けることができないという課題があります。
観光資源がなくなったら観光地は成り立ちません。
つまり、今後、観光業界が発展するということは貴重な自然・文化・歴史の観光資源を未来に向けて守っていくということでもあるのです。
もうお分かりだと思いますが、観光資源を守るのは地元の人だけでなく、そこを訪ねる観光客にも責任があるのです。
つくる責任つかう責任を自覚して、自然の豊かさを守り、住み続けられるまちづくりをして、働きがいも経済成長もあり、平和と公正をすべての人に…ってつながる話です。SDGsの17の目標にもたくさん当てはまる話ですね。
この企画展では、観光客として訪れる側、観光を提供する地元の側、双方の視点から「未来に向けたサステナブルで環境や人々にとってやさしい観光とは何かを探っていく」というテーマで行われています。
では、展示を巡ってみましょう。どんな発見があるのでしょう。
会場は大きく分けてZONE1~4まで分けられています。
ZONE1 テーマ「世界をめぐる」
世界各地の風景、食べ物など観光にまつわるさまざまなことについてまず知ってみましょうというコーナー。

彩り豊かな民族衣装をはじめ、各国の伝統・名物・人気料理のサンプルや写真などが飾られています。
民族衣装は試着可能で、みなさん思い思いに着飾ってフォトスペースで記念撮影を楽しんでいました。
各国の料理は、見慣れない料理の情報がずらりと揃い、「どんな味だろう」と食いしん坊の好奇心がくすぐられっぱなし。
「世界のこんにちは」は、その国の言語で「こんにちは」を音声で確認できる展示。一度聞くと次へ次へと、かなりハマります。



ZONE2 テーマ「SDGsと観光」
SDGsの視点から観光について考えてみます。「地球や人々にとって優しい観光って何でしょうか?」と展示を通じて問いかけています。

人気を集めていたのは、「観光にまつわる よかったこと こまったこと」という展示。ピンク色のパネルにはよかったことが書かれています。ブルーのパネルにはこまったことが書かれています。観光産業は良いことばかりではありません。ピンクをひっくり返すとブルーパネルが出てきます。観光産業とSDGsがいかに表裏一体なのか、ということがよくわかります。


ZONE3 テーマ「観光への取り組み」
世界や日本など、各地でサステナブルな観光のためにさまざまな取り組みが行われています。そんな取り組みについて知り、考えてみましょうというコーナーです。

では展示されている取り組み例を挙げてみましょう。
「車いすで楽しめるみんなのビーチ」 神戸市の須磨海岸のプロジェクトで、車いすが砂浜を進めるビーチマットを導入。
「キルギスの世界的文化遺産を活かした観光開発」 中央アジアのキルギス。観光資源に対して課題が多く残るも、3つの世界遺産を観光開発に活用。
「ゴリラと人が共存する地域参加型エコツーリズム」 アフリカ中部のガボン。経済の自立を目指すため地域住民が主体的に行うエコツーリズム開発を実施。
「日本初のSDGs地図教材 SDGs探究マップ」 旅行会社の近畿日本ツーリストが「SDGs探究マップ+修学旅行ワークブック(沖縄版、京都・奈良版)」を開発。観光スポットの解説に加えSDGs情報も掲載。
観光地と人との関わり方って、いろんな角度があるんだなって関心を持ちました。


ZONE4 テーマ「あなたならどうする?」
観光がもたらすさまざまな側面についてあなたは何を感じましたか? ゲームを通じて一緒に考えてみましょうというコーナーです。

「観光おたすけアイデアGAME」はとても趣向を凝らした遊び方が印象的でした。
ルールは、まずガチャガチャを回します。出たカプセルに書いてある「ワード」をカードに書きます。
次にカードに書いてある「観光の問題」とカプセルのワードを組み合わせて、解決するためにアイデアを考えます。
思い浮かんだアイデアをカードに書いたら切り取って発表します。
つまりどのような問題解決を求められるかわからないので、その場でアイデアをひねらないといけません。
貼りだされたアイデアを見ると、みなさん即興なのによく考えた答えが多いです。


世界の楽器や美しい風景も展示しています
画面に表示される世界遺産の写真をタッチすると、その場所について楽しく学ぶことができるAR地球儀「アースボール」
熱心に見学されているご姉弟からお話が聞けました。
ご両親と4人で訪問したイチカちゃん(中1)とカイセイくん(小5)です。
旅行とSDGsの関心が高いご家族。JICAの活動にも興味があり、「JICA地球ひろば」のリピーターです。

カイセイくん
─見学してみてどんな感想を持ちましたか?
「前回と違う展示物で新鮮な気持ちで見学できました。感想は、世界にはいろんな事情を抱えた国があって、貧困とかがあるんだなぁって思いました」
─印象に残った展示物は?
「楽器です。ピアノとか僕が知っている楽器以外の面白い楽器があるんだなって興味を持ちました」
─どんなことを学べましたか?
「日本は発展している国で、世界にはこれから発展していく国がまだまだあるなぁって思いました」
─これからの旅行に役立ちそうですか?
「はい。あんまりガスを出さないとか、ゴミをあんまり出さないとか。観光地に優しい旅行がしたいです」
ハキハキと答えてくれました。
ありがとう!
続いてイチカちゃん
─今回は2回目の訪問ですね?
「前回来て、ここでSDGsのことを学んで楽しかったです。もともと社会問題や環境問題に積極的に取り組みたいと思っていたところ、今回のイベントを知りました。いろいろな具体的な活動例を見たくて来ました」
─見学してみてどんな感想を持ちましたか?
「海の向こう、世界のことなんですけど、いろいろと身近に感じました」
─どんなことを学べましたか?
「日本は恵まれているなぁって実感しました。それとバリアフリーやLGBTQとか、そういう悩みを抱えた人たちでも、私たちと同じように楽しめる、見捨てないのはとても大事だなって思いました」
─学んだことは旅行に役立ちそうですか?
「環境問題に配慮したいです。それと募金も積極的にしようと思います。地球を守る一人として行動したいです」
立派な回答でした。
ありがとう!
展示をひと回りすると、心は世界へ。自分の視野が広がったような気がします。
旅行に行ってみたいな。
そう素直に感じました。
コロナ禍から少しずつ落ち着き始めた今、世界の人との交流を心が求めているのかもしれません。
旅行に行けるそのときは、ここで学んだこと、感じたことを忘れずに新たな視点で観光地と向き合いたいなと思いました。
イベントは2023年6月15日まで開催していますので、興味がある人はぜひ訪ねてみてください! ※現在は開催されていません
このほかにも地球ひろばは常設施設も充実なので見どころたくさんです。
地球ひろばHPはこちら。
https://www.jica.go.jp/hiroba/index.html
以上です
またレポートします。
おわり