こんにちは。今回は『全国子ども熱源サミット』にお邪魔しました。
『全国子ども熱源サミット』とは、海に関わるコトやモノに夢中、熱中、没頭している小学生が集まる全国大会です。
次世代へ、豊かで美しい海を引き継ぐために海を介して、人と人とが繋がるよう、
日本財団が「海と日本プロジェクト」の一環として開催しています。
未来を担う熱源ジュニアが集まりました!
このイベントは海オタクや海マニア、海博士と言われるような海に関心のある子どもたちの成長を応援し、さらにお互いの発表やディスカッションを通して、海への意識をより一層深め、将来にわたって「海を守るコト」に繋げるという目的があります。
ちなみに「熱源」という言葉はここでは次のような想いが込められています。
<豊かで美しい海を未来へ繋げる「熱い」想いを持ち、社会を変えるムーブメントの「源」となる人材を「熱源」と呼んでいます>
会場は品川プリンスホテル内にある「クラブeX」。
参加者は全国から集まった小学生20人。
イベントの日程は2023年3月24日(金)~26日(日)の3日間です。
3月24日(金)は「熱源ジュニアの主張」と題したプログラムで午後から開始。参加者の海に関する活動や取り組みを発表します。
3月25日(土)のプログラムは「熱源ジュニア熱中授業」。午前と午後の1日かけて行われます。
3月26日(日)は「未来の熱源育成」。海上保安庁台場岩壁係留の測量船と東京海洋大学品川キャンパスでの実施される授業です。
とても大掛かりなイベントです。
参加した人たちにとって、すごく良い影響がありそう。
さて取材班はこの3日間のうち2日目の「熱源ジュニア熱中授業」に密着しました。
この日、行われた「熱源ジュニア熱中授業」は、大きく分けて4部構成になります。
1部は「世界の海から多様性を学ぶ」。日本を中心に海外にも中継を繋げて全10か所から現地レポートを行い、海の現状を学びます。
2部は「活動・取り組みを通して未来の海を考える」。5グループに分かれてのグループワークです。
3部は「グループ発表と意見交換」。グループごとにワーキングの成果を発表し、未来の海と自分たちについての意見交換を行います。
4部は「全体のまとめ」。子どもたちへのインタビューと総評です。
それでは「熱源ジュニア熱中授業」開始!
1部の「世界の海から多様性を学ぶ」からレポートします。
ここでは、国内外で起こっている海の課題や現状を海に関わる各地の“センパイ”と中継で繋ぎます。現地の人だからこそ知っている、貴重なお話が聞けます。
参加した子どもたちはA~Eの5グループに分かれてテーブルごとに座っています。
中継を繋げる前に進行役の田中佳奈さんから案内がありました。
「手元に置いてあるワークシートにメモをとりながら中継を観てください」と。
その際には次の3つの視点でメモをとりましょうとご案内。
1) 疑問に思ったこと。
2) みんなで考えたいこと。
3) 自分だったらこうするかもしれないこと。
この視点のお話。教えてもらって良かったです。とても参考になりました。
普段からこういう視点でいろんな物事を見ていくって、とても大事だと思います。
そして、このブロックの授業、面白いだけでなく、ものすご~く勉強になりました!
いくつかご紹介しましょう。
いるはずのない生物が富山に現る!
まずは富山県からのレポートです。教えてくれたのは魚津水族館館長・稲村修さん。
テーマは「魚から見える海の環境」です。
日本海の富山湾でリュウグウノツカイという魚が2007年ごろからどんどん獲れるようになってきたといいます。
リュウグウノツカイってどんな魚か知っていますか?
リュウグウノツカイはもともと赤道近くの温かい海域に生息する魚です。
それがなぜ日本海の富山湾に!?
調べてみると日本の太平洋沿岸でもリュウグウノツカイの子どもが見つかり、その影響が日本の日本海沿岸にも及んだのではないかと考えられています。
ただ、まだ富山湾でリュウグウノツカイの子どもは獲れていないので定着はしてないかもしれません。
さらに同じく2007年ごろからダイオウイカも獲れてきたそうです。これも富山湾ではダイオウイカの子どもは獲れていない状況で、こちらも太平洋側の影響が及んだと思われます。
いなかったはずの生物が増えている。これは富山だけの話ではありません。全国も同様で、より温かい南の海に近い太平洋沿岸がはじめに影響を受け、その流れで日本海にも及んでいます。
このほかアカナマダという魚の紹介もありました。細長い体形で墨をはく魚です。このお腹の中を調べたらプラスチックが出てきました。こうして人間の生活が魚にも影響していることがわかってきました。
温暖化などによって海の温度が上昇し、生態系が変化、その影響は太平洋沿岸から始まり、日本各地へと広がって、ついに富山湾まで変化が起きているのです。
そしてプラスチック。どちらも原因は人間の生活によるもの。私たちはどうすれば良いのでしょうか。
現場レポートはより切実に、現実味があって、とても考えさせられます。
100人中3.5人が共感すればそれがスタートになる
沖縄県からの中継はみんながビックリしていました。
テーマは「アイデアで社会を変える」。教えてくれるのは沖縄の海の問題を通じて社会を変える取り組みを考える活動をしている、起業家の金城由希乃(ユッキー)さんです。
沖縄天然ビーチからリポート。わざと「天然」という言葉を使いました。
「あれ、ビーチって天然以外もあるのかな」と思った人へ。
「実は沖縄のビーチでさえ、ほとんどが人工ビーチになっています」とびっくりの発言。
ユッキーさんは「旅行者が行くようなビーチの80%は天然ではないのかなぁ…」と続けます。
ほとんどの人が知らなかった事実に会場でもザワザワしていました。
では、沖縄の人工ビーチは、どこから砂を持ってくるのでしょう?
沖縄本島から12キロ沖の海底から持ってきているんだそう。
沖縄で減ってきている天然ビーチ。中継しているこの沖縄天然ビーチもいつかなくなってしまうかもしれません。
ユッキーさんは「まずそんな状況をみんなと共有したい」と話します。
そして、ユッキーさんの想い。
社会を変えるためにアイデアが浮かんだとしましょう。そのアイデアは共感がなければいずれ消滅してしまいます。
ユッキーさんは行動して発信し続けることが大事だと言います。
そこで「3.5%ルールって聞いたことありますか」と問いかけます。
100人中3.5人の人が行動に参加したり、賛同したりすると、社会は変わるという研究データがあるんだそうです。
そう考えるとなんかハードル低そうですよね。行動を起こす勇気がでそう。
この会場でも100人中3.5人の人が共感すればそれがスタートになるのです。
「どんなアイデアも最初は小さいものだけれど、これを行動に移す人がいて、どんどん伝わって社会が変わるということを歴史が証明しています」と、すごく勇気がもらえるレポートでした。
ちなみに、このほかすべてのレポートを要約したものが下記にまとめてありますので、関心があったら見てください。
こうして約2時間の1部「世界の海から多様性を学ぶ」は大盛況のまま終わりました。
後編は第2部から。
海オタクや海マニア、海博士たちにより熱いグループワークが始まります。
つづく
【レポート要約】