エンディングの様子
2023年3月28日(火)、東京ドームシティホールで開催された「チェンジメーカー・フェス2023」のイベントレポートの後編です。
HEROsスピーチ
現役JリーガーでNPO法人Hokkaido Dreamの代表理事を務める、元日本代表の鈴木武蔵さんによるスピーチ。
ジャマイカ人の父親と日本人の母親を持ち、見た目の違いで差別やいじめを受け、苦しい時期を経験したことを話します。
そしてその経験が今の活動に繋がっていることもスピーチしてくれました。
「目の前の自分の家族や仲間を幸せにできなかったら、その規模を大きくしても、表面だけの活動になってしまうと思っています。今後の皆さんの活躍を祈っていますし、僕ももっと自分にできることをやっていきたい」
とても心に刺さるスピーチでした。
チェンジメーカースピーチ
この日2回目となるチェンジメーカースピーチ。
明治学院高校、Lady Bug、東京学芸大学附属世田谷小学校の3団体からの発表がありました。
明治学院高校は、日本で最初のフリー・ザ・チルドレンの支部。すでに20年以上活動を続けています。
街頭募金活動や、児童労働問題を伝えるための校内プレゼン、文房具の回収や寄付を実施したことを報告しました。
Lady Bugは、沖縄でゴミ拾い活動、居場所支援活動などを行っている学生団体でオンラインでの出演です。
自分たちが通っていた無料塾へ感謝するとともに、今度は私達が子ども達の思いを叶えてあげる番だと想いを伝えました。
東京学芸大学附属世田谷小学校はVTR出演です。
かき氷スタンドを実施し、売上を養護施設に寄付する活動を報告しました。
日本全国でいろんな活動している人たち。お話を聞くとすごくワクワクして、自分も何かしたくなってきます!
戦争・紛争・難民
最初に「世界では今、27か国以上で、戦争が起きている」との説明がありました。
知らなかった……。
そして、「いかに戦争が残酷か、すべてを奪うかを経験した女性がいる。平和を願い、そしてその大切さを伝えている人」と紹介されたのが俳優のサヘル・ローズさんでした。
「戦争を遠い国の出来事だと思っていませんか?」
サヘル・ローズさんは、イラン・イラク戦争中に生まれ、4歳の時に12人の兄弟も両親も、誕生日や名前などの自分に関する情報も失いました。
街が破壊されても元に戻るかもしれません。でも戦争を経験した人は、外傷は癒えても心には永遠に大きな傷を抱えていることを伝えました。
現在は、難民キャンプの学校運営のサポートやストリートチルドレンの援助、大人達に雇用を生み出すための活動をしているサヘル・ローズさん。
世の中の無関心をなくすことを目指し、
「1日5分でも良いから、世界で起きていることを学ぶ時間に切り替えてみてください」とみんなに呼びかけました。
とても驚いたスピーチでした。
今こうしている間に27か国が戦っているのです。
知らなかったことが恥ずかしい気持ちになりました。
プラネタリウム
星つむぎの村の皆さんによる、ピアノとパーカッションの生演奏に乗ったプラネタリウムショーが行われました。
星つむぎの村は、「星を介して人と人をつなぎ、ともに幸せを作ろう」をミッションに、「病院がプラネタリウム」など、本物の星を見ることが難しい人達にも星を届ける活動のほか、星や宇宙に関するワークショップなどを展開している団体です。
生演奏が始まり、スクリーンには、宇宙から地球を見た様子が映し出されました。地球、太陽系、天の川銀河と、映像はどんどん広い視野になり、地球は点になり、ほとんど見えなくなります。
物事を見る視点が切り替わるような気がします。こんな小さな地球を守るために何をすべきか…ぼんやりと考えてしまいました。
幻想的なショーでした。
チェンジメーカースピーチ
3回目のチェンジメーカースピーチ。3校の登場です。
世田谷区立桜丘中学校は、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンのウェルビーイング(すべてが満たされた状態で継続性のある幸福の状態)の授業開発に参加したとことを報告。
ガールスカウト日本連盟は、全国の18~25歳の女性に行ったジェンダー調査について報告をしました。
「誰もが“女性らしく”ではなく“自分らしく”を選択できる社会を目指して、これからも声を上げ続けたい」とメッセージを残しました。
上尾市立上尾中学校は、学校でチョコレートやドライマンゴーなどのフェアトレード商品を販売したことを説明しました。
こども家庭庁 スペシャルトークショー
こども家庭庁は、2023 年4月1日に誕生しました。
あわせてこども基本法も4月に施行されました。
こども基本法は、すべての子どもが幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指しています。こども政策を総合的に推進することを目的としていて、子どもたちの意見が反映されるようになったのです。
内閣府大臣政務官の自見はなこさんが登場。
こども家庭庁ができること、子どもたちの意見が反映されることなど、わかりやすく説明がありました。
続いて“尾木ママ”こと尾木直樹さんを囲んでスペシャルトークショーが繰り広げられました。
軸となったテーマは「子どもまんなか社会」。
子どもたちが自分らしく健やかに幸せに成長できるように、国や社会のかたちを「こどもまんなか」へと変えていこうというのが「子どもまんなか社会」。変えるためのリーダーがこども家庭庁です。
尾木ママは同席した子どもたち、そして会場に呼びかけます。
子どもまんなか社会に導くための
「こども基本法を知ってもらいたい」
子どもたちの声も紹介されました。
「高校まで無料化してほしい」
「いじめのない社会を」
「子どもが安全に過ごせる社会へ」
「困っている子どもの声に耳を傾ける」
舞台の子どもたちとのトークも活発です。
「特別支援学級に通っています。通常学級との関りがほとんどなくなり、嫌なことをされます。世の中には障害がある人とない人、さまざまな人がいることを理解して欲しい」
「家に帰っても孤独の小学生は放課後、待機する場所があるが、中学生にはない。中学生でも居れる場所が欲しい」
「外国ルーツについていじめを受けた。自分のルーツを恨めしく思ったことがある。もっと国際理解教育が必要だと思う」
波田野優さんからの提言スピーチもありました。
「子どもまんなか社会に向けて特に学校で起こっている問題と権利について話します。私たちの抱える問題の多くは学校で起こっています。全国の教員にアンケートを取ったら、子どもの権利を知っていますかという問いに対して、内容までよく知っていると答えた教員はわずか5人に1人でした」
「これからかはしっかりと子どもの権利を学べる機会を設けて、子どもの権利について正しい理解を持つ取り組みを行えば、子どもを取り巻く問題が解消され、より良い社会が実現するのではないかと考えています。子どもまんなか社会とは子どもの声を聞き、大人と子どもがともに行動することだと考えています」
本当にその通りです。
実現するためには子どもたち自身も子どもまんなか社会や、こども基本法について調べて、知っておく必要がありますね。
いきなり詳しくなる必要はありません。
まずはできることの一歩から始めませんか。
良い影響を受けたトークショーでした。
ライブパフォーマンス
最後の演目は土屋アンナさんによるライブフォーマンス。
ノリノリでイエイイエイと盛り上がりました。
エンディング
出演者が舞台に再び登場し、エンディングを迎えました。
土屋アンナさんがマイクを握りしめます。
「変えられないモノはないと思う。一緒に進みましょう」
「we can change the~」(土屋さん)
みんなで「world~」と大きな声で返し、会場が一つになって終わりました。
「また来年お会いしましょう!」
今日の演者さんから一人、感想を聞くことができました。
相羽絆良くん 小学5年生です。
絆良くんは「子どもには世界を変えるチカラがある」という演目で、子どもアンバサダー16人のなかの1人として出演しました。
Qソーシャルアクションでやっていることはありますか?
「普段やっていることは、学校で代表委員とか学級委員をやっています。来年は6年生。代表委員の委員長に立候補して今日聞いたことを参考にしてアクションを起こしてみたいです」
Q今日のイベントの感想は?
「めっちゃ楽しかったです。みんなでワイワイ盛り上げていったところとか、とにかく絆も深まったし、伝えたいことは伝えられるし、子どもでもこういうことができるんだなってよくわかりました」
Q今日はどんなことを学びましたか?
「子どもには特別な力があるって思ってくれる人がいるんだなって感じました。それと子どもの権利にについて詳しくは知らなかったけど、これをきっかけにもっと知りたいと思いました。あと、プラネタリウムに感動しました」
疲れているところありがとうございました。
皆さんも、来年はイベントに参加してみませんか。
またレポートします
おわり