SDGs 取り組んでいます!

大人向けだと思ったイベントが衝撃的に楽しかった!「エコプロ2022」(新しい発想編)

2022年12月7日~9日、東京ビッグサイトで「エコプロ2022」が開催されました。

環境とSDGsに関する日本最大級のエキシビションで、全国の企業、官公庁、研究機関やNGOが開発研究した製品やサービス、技術、アイデアを紹介、展示しています。

実は、対ビジネスマン用というか、大人の商談用のイベントだと思っていたのですが、それは大きな勘違いでした。

もちろんビジネスの側面もあるのですが、来場者を見たら一目瞭然。社会科見学の小中学生の団体がわんさかわんさか。

ノートにメモを取る熱心な子やイベントを120%楽しむ子など、子どもたちがめちゃくちゃ楽しんでいました。

ここは知識を得て学びながら遊べるワンダーランド。知らなかった人は来年も開催するので、ぜひ体験してみてください。

というわけで、今回は「エコプロ2022」のイベントレポートをお送りします。

三部作の大作で、ここでは「新時代に向けて新しい発想で取り組む」をテーマに紹介ブースを選びました。

では、レポートのはじまり、はじまり~。

■弘前大学

「もみ殻を利用した貝殻廃棄物のケイカル肥料化」と「トノサマバッタを昆虫食として利用する試み」にかかる研究成果を紹介。

なかでも子どもたちの関心を呼んだのは昆虫食!

弘前大学は新しいタンパク源としてただいま注目を集めている昆虫食の研究に力を入れています。 ブースでは、昆虫食の研究成果を紹介するだけでなく、「トノサマバッタせんべい」の試供品を配布していました。

美味しかったトノサマバッタせんべい

トノサマバッタはタンパク質と脂質を多く含んでいるので栄養食に適しているのだそうです。すでに「トノサマバッタせんべい」はネットで販売しており、ニーズが高まればさまざまな食品として実用化も加速するとのことでした。

さて、肝心の味の方は…試供品は会場では飲食禁止なので、お持ち帰りして試食してみました。トノサマバッタの成分はおせんべいの5%から6%。食べてみると、何の違和感もなく、素直な感想を言うと「普通においしいおせんべい」でした。

これなら昆虫食と聞いて、ちょっと戸惑う人も大丈夫だと思いますよ~!ぜひチャレンジしてみてください。

 ちなみに「もみ殻を利用した貝殻廃棄物のケイカル肥料化」とはなんでしょうか?

「東北地方一つの課題になっているか貝殻の処理です。ただ燃やすだけでなくもみ殻を混ぜて燃やすことによって稲作に有効な肥料になるというプロジェクトです。実際に土に撒いて収穫し、研究を続けています」(スタッフさん)

 またスタッフさんが驚いたのは、大人より子どもたちの方が昆虫食に親しみがあること。

「驚く子より、ああ、昆虫食ねって、よく知っている子の方が多かったですね。それだけ子どもたちは勉強しているし、浸透していると思います」

これから食文化は、子どもたちのニーズによって変わるかもね。

子どもたちは興味津々。質問に答えるスタッフさん

■日立造船グループ

「クリーンなエネルギー」と「水」を特集したブース。

黄色に装飾されたエリアが「Hitz(日立造船)のつくる 電気のあるまち」と題する展示。

日立造船では「ごみ」や「風」から電気をつくっているんです。余った電気で水素を作り、CO2からエネルギーを作っているんだって。そんなみんなの環境を守っているさまざま技術が紹介されていました。

たとえば、ごみから電気をつくる方法もしっかりと解説がありました。

ごみを燃やした時の熱を使って蒸気を作り、蒸気の力で発電機を動かして電気をつくっているんです。つくったでんきは施設の中で使って、余った電気は電気事業者に売っているそうです。

また、未来の技術もありました。メタネーションって知っていますか?

二酸化炭素と水素を反応させることでメタンガス燃料をつくる技術だそうで、メタンガスを燃やしてうまれる二酸化炭素も回収してもう一度メタンにするから、これが世の中に実現すれば持続可能な社会にすごく貢献することになりますね。

もひとつ、水色に装飾されたエリアが「Hitz(日立造船)のつくる 水のあるまち」と題する展示です。

トイレやお風呂の水をきれいにしたり、川の水を飲めるようにしたりする技術を紹介しています。

水をきれいにするろ過装置や汚泥処理についての展示がありました。

そこで知ったこと。

実は地球上で使える真水って0.01%しかなく、地球温暖化による災害や日照りも起こっていて、2025年には世界の半分近くの人々が水不足になると言われているんだって。

今年って何年かな。そんな遠い未来の話じゃないんだね。

自分は何ができるのかな。

社会科見学になる充実の展示内容でした
ステージでは参加型のクイズコーナーを開催

■日本気象協会

気象データを活用して、持続可能な社会を目指す日本気象協会のブースでは、気象コンサルティングサービス例として気象環境によるリスクから身を守るための防災行動支援情報や、国内外の高精度な気象予測データを提供する「気象データ活用サービス」などさまざまな事業内容が紹介されていました。

最新技術の印象に残ったのは「GoStopマネジメントシステム」です。

高速道路の気象状況から輸送影響リスクを確認できるWebサービス。雨や風、雪、吹雪、越波などで輸送にどの程度の影響を与えるかを1時間単位で予測します。

これによって、輸送をやめたり、遅らせたり、宅配便などの流通会社が判断できるし、ドライバーの安全確保にも役立つというスグレモノなんです。

来場者をひと際集めていたのは、台風のような豪雨や暴風雨を疑似体験できる日本気象協会独自の学習アトラクション「HERASEON(ヘラセオン)」です。

ヘラセオンは、傘型マーカーを持つと画面上で豪雨や暴風が起きる学習アトラクション。映像を通してなので体をまったく濡れないまま豪雨や暴風の様子が体感できます。

子どもだけでなく大人までも、激しい天候の様子に驚いていました。

ヘラセオンと傘型マーカー

岡山県産業振興財団

パック・ロードのブース

岡山県内の企業が集まった岡山県産業振興財団のエリア。岡山県内の12社(団体)が出展していました。

そのうち2ブースにお邪魔してきました。

まずはパック・ロード。印刷物の表面加工や特殊印刷で高い技術力を誇る会社で、脱プラスチックを目指し、なんと紙なのに中が透けて見える、書き込みもOK、紙としてリサイクルも可能という環境にとっても優しいファイルを開発。見本が展示されていました。

商品名は、名づけて「紙(シ)ースルーファイル」。

特に興味を持ったのは紙なので印刷できるところ。オリジナル印刷も注文可能なので、イベントや企業の贈答用に刷ることも多いんだとか。大切な写真を印刷するのも面白いなぁ。クラスの集合写真の記念とかにも良いね。

紙でできた「紙(シ)ースルーファイル」。透けているのがわかりますか~

もうひとつは横山製網。創業は100年近い歴史ある会社、漁網を一貫生産している国内有数のメーカーです。

横山製網のブース

近年では蓄積された独自の技術やノウハウを漁業の分野だけでなく農業用やスポーツ用、産業用の各ネット分野にも進出して総合ネットメーカーとして活躍の場を広げています。

そんな横山製網が開発したのは植物紙からできた「グリーンネット」。農家が抱える収穫後の農業用ネットの廃棄問題を解決するために開発されました。キュウリやトマトな、ゴーヤなどの栽培におすすめだそうです。

植物紙からできているので栽培後の廃気がラク。土中(腐葉土)に埋めれば約5週間で分解できるなど、環境にも良いのです。しかも軽量で作業がしやすく、耐久性もばっちり。1シーズン持つほどの強さがあります。

岡山県の技術力の高さを知りました。

勉強になりました。

植物紙からできた網「グリーンネット」
■昆虫ビジネス~昆虫食からバイオミメティクスまで~
バイオミメティクスコーナー

近年、世界的な人口増加や異常気象、水不足など食糧不足問題が深刻化しています。その解決策として、あるいはSDGsの観点からも、「昆虫食」への注目がどんどん増しています。もしかしたら、大人より子どもたちの方がよく知っているかもしれません。

このコーナーでは、さまざまな分野の出展者が集まり「昆虫ビジネス」の可能性をSDGsの観点から考察し、最新の事例や技術、製品を展示しています。

そのなかで2件の出展ブースにお邪魔しました。

 

バイオミメティクスコーナー

生物からヒントを得て科学技術に応用する「バイオミメティクス(生物模倣)」を紹介しています。どんなブースなのかスタッフさんに聞きました。

「バイオミメティクスとは日本語で生物模倣と言います。バイオミメティクスは、生物の構造や機能、生態などからヒントを得て最新技術の開発やものづくりに活かすという科学技術です。自然界に生きるものをお手本にするので環境に負荷が少なく、かつ人間も便利な技術ができるじゃないかと期待されており、研究が進んでいるところです。昆虫ももちろん研究対象になっています。ここでは、まずバイオミメティクスという技術、分野があることを知ってもらうため、パネルで説明しています」

わかりやすいパネル解説の展示のほか、バイオミメティクスの関連本も紹介されていました。児童書として出版されているので、こちらもすごく読みやすい内容でした。しかもブース内にテーブルとイスが用意されているので、サンプルを読むこともできました。

生物社会をお手本とした循環型社会の実現を目指す「エコミメティクス」の視点を学ぶ日本初の子ども向け入門書「地球を救うスーパーヒーロー生き物図鑑」(エクスナレッジ刊)。書店でもネットでも絶賛発売中です。

オールコセイ

静岡県富士市で自家養殖コオロギを販売している業者が出展。フードロスの貢献や、環境負荷の少ない未来の食材として、コオロギを提案するオールコセイさん。なぜコオロギなのですか。

「この事業をはじめるにあたって、食べられる昆虫をいろいろ試食してみました。その結果、一番おいしかったのがコオロギだったんです。そこは社員一同が胸を張って誇れるところですね。それと栄養成分的にはグルタミン酸が昆布の3倍量入っています。グルタミン酸は出汁の成分のひとつ。出汁文化の日本人にはなじみやすい味だと思います」(スタッフさん)

では、気になるお味は?

「サクラエビです」と即答。

「もう何度も聞かれていますからね(笑)。余談ですが、商品は粉の状態より、コオロギの姿が見えるものの方が、意外ですけど売れるんです」

来場の子どもたちも興味津々、スタッフさんは子供たちから質問攻めされていました。

コオロギチップスやコオロギサブレ、コオロギフライなど、さまざまな食品を販売
コオロギフライ。味は塩、ウナギ、カレー、旨辛の4種類

おわり