2022年12月7日~9日、東京ビッグサイトで「エコプロ2022」が開催されました。
環境とSDGsに関する日本最大級のエキシビションで、全国の企業、官公庁、研究機関やNGOが開発研究した製品やサービス、技術、アイデアを紹介、展示しています。
実は、対ビジネスマン用というか、大人の商談用のイベントだと思っていたのですが、それは大きな勘違いでした。
もちろんビジネスの側面もあるのですが、来場者を見たら一目瞭然。社会科見学の小中学生の団体がわんさかわんさか。
ノートにメモを取る熱心な子やイベントを120%楽しむ子など、子どもたちがめちゃくちゃ楽しんでいました。
ここは知識を得て学びながら遊べるワンダーランド。知らなかった人は来年も開催するので、ぜひ体験してみてください。
というわけで、今回は「エコプロ2022」のイベントレポートをお送りします。
三部作の大作で、ここでは「地球にやさしい取り組み」をテーマに紹介ブースを選びました。
では、レポートのはじまり、はじまり~。
■アースデイリフィルマーケット~海と日本PROJECT~
アースデイ東京とエコプロのコラボによる「リフィル」に特化したマーケットイベント「アースデイリフィルマーケット」。
リフィルとは詰め替えという意味で、アースデイ東京とは、「アースリフィル大作戦」や代々木公園や宮下公園などで毎年行われているフェスティバルなど、地球のことを考えて行動するイベントを展開している団体です。
ちなみにアースデイは毎年4月22日です。地球の環境問題考える日として世界的に活動が行われています。
1970年にアメリカの議員が4月22日を「地球の日」と宣言してアースデイが誕生しました。
このマーケットでは、ナッツなどの乾きものや洗剤、ボディソープなどの量り売りを推進する店舗が並ぶほか、詰め替え用におすすめのオシャレでカッコいいマイボトル、オーガニック野菜、環境に配慮した雑貨、繰り返し使えるフードラップなどの紹介。さらに海洋プラスチック問題を考えるワークショップを含めて全8店舗が軒を連ねます。
「リフィルとはどういうものかをこのマーケットで表現しています。店舗を巡り、体験しながらリフィルの良さを知ってもらいたいですね」とスタッフさん。
詰め替えって実は昭和の時代は当たり前だったんだよね。そこから容器の開発が進歩して、使い捨てできる容器がたくさん誕生する。そしてみんなで気軽にポイポイしていたら、今度はそれがゴミ問題として大ごとになって私たちの未来を苦しめることになってしまったんだ。
これからの地球のためにするべきことは何だろう?
詰め替えする習慣が広く浸透すると使い捨てのゴミが減るよね。
それとワークショップも注目ポイントでした。
海の環境問題について学びながら、海や川で拾ったゴミをリサイクルし、オリジナルアートを作れます。みんな自由に創作していたのが印象的でした。
■BRING Bottle Water | JEPLAN
会場でひと際目立っていたのが映画バック・トゥ・ザ・フューチャーに登場するデロリアン。
子どもから大人まで、ほとんどの人が足をとめて「おー!」「すげぇ」「かっこいい」などなど、感嘆の声をあげていました。
そもそもこのブースはJEPLANというリサイクル会社の出展で、この会社の製品である「BRING Bottle Water」のPR行っていました。
「BRING Bottle Water」って、ペットボトルを何度も循環させる技術を使って作られたボトルで、もちろん中にはおいしいお水が入っています。
一般的なリサイクルでは1~2回程度のリサイクルをできるけど、目に見えない不純物などが残ったりして何度もリサイクルするのはまだ技術的に難しいのだそうです。「BRING Bottle Water」は、特別な技術によって分子レベルの汚れや不純物を取り除くので、何度でも循環させることが可能になったんだとか。すごい!
それで、なぜデロリアンが展示されているのか? スタッフさんに聞くと、
JEPLANは主にペットボトルとお洋服のリサイクル事業をしていて、かつてリサイクルイベントの一環でデロリアンを登場させたそうです。そういえば映画のデロリアンは、物語の途中で家庭ごみを燃料にする仕様に改造されていたっけ。
当時は綿からバイオエタノールにリサイクルする事業(現在は綿ではなくポリエステル)をしていた関係で、一般家庭から綿の洋服を持ってきてもらい、バイオエタノールを燃料にして実際にデロリアンを走らせようというイベントでした。
リサイクルに関心のない人でも「デロリアンを動かすのにお洋服を持ってきてください」と告知すると、その求心力は絶大で、大人も子どもも喜んでいらなくなった洋服を持ってきてくれたそうです。
結果は、見事に走行成功! 大いに盛り上がったんだとか。
そのイベントは、現在は行われていませんが、それ以来リサイクルイベントの象徴、マスコットとして使用されているらしく、いつもドーンとイベント会場に鎮座して、多くの人の注目を浴びているのです。
ちなみに整備は万全で、今でもちゃんと走るそうです。
■セブン&アイ・ホールディングス
セブンイレブンでおなじみのセブン&アイグループのブースは、社会科見学の子どもたちに大人気でした。
ここでは商品やサービスにおけるサステナブルな取り組みを紹介しています。
大人気の理由を聞いてみると
「まず来場者の方にとって展示内容が身近な存在であること、親しみやすさを意識しました。スタッフのユニフォームは見慣れた制服ですし、展示の商品も見たことある、使ったことあるというもの意識して、みなさんに受け入れやすくしたつもりです。それと情報をただ展示するというのではなく、クイズやパネルにしてエンタメ性を加えました。楽しい、面白いというのは学習の大事な要素。知識を覚えるだけでなく、学びに火をつけたいという思いで演出しています。そういう意味では学びの火つけとなる着火剤は、このブースの中にいくつも用意しました。そんなところがみなさんが喜んでくれたのかもしれません。ここで知ったこと、学んだことをみんなが持ち帰ってくれて、もっと深く学んでもらえたら、あるいは考え方や活動が広がってくれると嬉しいですね」(スタッフさん)
ブースの構成は主に「CO₂排出量削減」、「プラスチック対策」「食品ロス食品リサイクル対策」「持続可能な調達」の4分野の取り組みを紹介。展示は材料調達のサステナビリティに配慮した商品や、持続可能な水産資源である水産認証審査サービ「MSC・ASC」を取得した魚介類、オーガニックコットンを使用した製品など、「へえ~」と感心してしまう展示がずらりと並んでいました。
注目の的だったのは、セブン&アイ・ホールディングスグループ店頭に設置しているペットボトル回収機の実機。スタッフさんの解説を来て、来場者が体験。見学者が次から次へと順番待ちの大盛況でした。
■丸紅木材
木を切ることって「いい事だと思う? 悪いことだと思う?
子どもたちがくるとこんな質問から始めるそうです。
ここは材木会社が出展するブース。日本の森林事情からSDGsな未来に向けての活動まで、わかりやすく紹介しています。
質問に対して多くの子どもたちは「切っちゃダメ。環境破壊になるから」と答えるのだとか。さすがみんなよく知っているな、と思いきや。
「正解は×です。もちろん無制限、無作為に切ることはダメですが、木は間伐をしなければいけないし、樹齢がきたら伐採して、新しい木へと循環していかないといけません」とスタッフさん。
どういうことか要約すると、これは人工林のお話。人工林というのは、まず山に新しい木を植えます。成長してくると間伐を行います。間伐とは木と木が密集して混み過ぎないように一部の木を伐採することです。こうすることで木と木の間にすき間ができて、適度に太陽の光がさし込み、地面の草も繁殖します。
すると健全に育つので、幹が太く、生育が良くなり、風や雪にも折れにくくなる木になります。こうした木が集まった森は、良質な木が生まれるだけでなく土砂が流れることを防ぐので、防災対策にもなるのです。
育った木は伐採して木製品となって、みんなの暮らしに役立ちます。そして伐採後は山に木を新たに植えて育てます。
さらに植物は二酸化炭素を吸って酸素を出してくれます。この健全な森林サイクルを保つことで大気中の二酸化炭素の吸収量を増やすことと二酸化炭素の排出を抑えることの両方を実現します。
健康的な森はSDGsを実現する大事な要素なのです。
ところが現実は理想的なサイクルになっていないようです。
今の課題は大きく分けて3つ
1 国産木材の使用が減った。
安い輸入木材が増えたそうです。使わない木が増えて放置されることに。
2 林業のスタッフが減少。
危険で体力を使う仕事なので林業に従事する人が減ってきているとか。放置される森が増えると間伐もできなくなり、不健康な森になります。
3 林地残材。
林地残材とは、林地に放置されてしまう木材のこと。例えば木が曲がっていたり、細かったり、短かったりと売り物になりにくい木材が放置されることも少なくないそうです。
日本の山はただいま「健康」とは言えないのです。
こうした現状を知ってもらい、現在どのよう活動をしていて、どんな未来を描いているのかとPRするために出展されたそうです。
木のこと。すごく良くわかりました。
みなさんも一度、日本の森林について調べてみませんか。
■イガリインターナショナル
オーストラリア産のハニービーラップを特別販売しているコーナーです。
ハニービーラップとは、100%オーガニックのコットン生地に、ミツロウをはじめ、ホホバオイル、ココナッツオイル、天然樹脂、ホホバオイルをしみこませたオーストラリアのハチミツ農家が作る天然の素材のみを使ったラップです。ミツロウ(蜜蝋)ラップと言った方がわかりやすいという人も多いのでは。
では。ミツロウラップの特徴とは。
「従来のラップは1回使えば捨ててしまいますが、ミツロウラップは繰り返し何度でも使えます。最初はごわごわしていますが、手の温もりで柔らかくなるので、お皿やボールの形にピッタリさせて、そのまま保管することができます。バナナやリンゴなど食材を直接包んで保存するという使い方もできます。丁寧に使えば1年ぐらい使えます」(スタッフさん)
というとってもエコなラップなのです。
来場者の注目度は高く、この日はすでに売り切れの商品がちらほらと。柄が可愛く、エコに関心が高い女性を中心に人気があるそうです。取材中も女性客がずっと途切れませんでした。
このミツロウラップ。日本でもどんどん認知度が上がっているようで、
「去年も出展しましたが、今年はミツロウラップのことをすでに知っているという方が増えましたね。それだけSDGsの関心が高まっているのだと思います」
おわり