こんにちは。今回は「プログラミングで海のSDGs!」というイベントにお邪魔してきました。
このイベントは、SDGsの目標14番「海の豊かさを守ろう」をテーマとして、プログラミングを学びながらSDGsの意識や気づきなど、理解を深めることができるというワークショップです。
一般社団法人イエローピンプロジェクトと日本財団「海と日本PROJECT」の共催で行われています。
参加費は無料。小学生3年生から6年生なら誰でも参加できるという、とっても気軽に楽しめるイベントなのです。
日本全国で開催しているので、あなたの街で開催されたら要チェックです。
では、どんなことが学べるのでしょうか。
のぞいてみましょう。
今回、イベントが行われたのは神奈川県横須賀市の総合福祉会館です。
会場に入ると参加者ひとり一人にパソコンが用意されています。全員が揃ってプログラミングワークショップが始まります。
ここで参加者のみんなが挑戦するのは、海で吸収される二酸化炭素「ブルーカーボン」をテーマにしたScratch(スクラッチ)のプログラミングです。海の植物を使って二酸化炭素を吸収するゲームを作りながら、海洋温暖化について考えることが目的になります。
ちなみにスクラッチとは、学校でも勉強している小学生のみんなはよく知っていると思うけど、知らない大人のひとたちに説明しましょう。
スクラッチとは、世界各国で幅広く採用されているプログラミング教材のひとつ。そもそもアメリカのMITで開発されたもので、プログラミングをする時に難しい知識を必要とせず、直感的な操作が可能だったり、導入も簡単だったりと、プログラミング初心者に最適な学習教材として注目され、日本でも多くの学校で採用されています。
さて、会場ではプログラミング指導を行う先生登場。
「SDGsって知っていますかぁ?」と問いかけると、元気よく「知っています」と返答する子どもたち。
さすがです。
先生からSDGsについての説明が始まり、SDGsの目標14番「海の豊かさを守ろう」についての話になり、現在、海がピンチを迎えていることをわかりやすく説明してもらいました。
要所で先生が説明に問いかけを加え、子どもたちが答えていくという進め方。コミュニケーショが生まれるので、初対面の子どもたちの緊張が次第にほぐれていくのがよくわかりました。
先生の講義を要約すると
二酸化炭素が多いと気温が上昇し、地球温暖化になるという話はよく知られています。
ただ、排出される二酸化炭素が多いというだけでは、気温は一気に上がりませんでした。
なぜだかわかりますか?
実は海も二酸化炭素を吸収してくれたからなんです。つまり、海が温暖化の進みを和らげていました。
ところが、海が二酸化炭素を吸収しすぎて、これ以上吸収ができなくなってきているというのが今の状態。本来の仕事ができなくなったのです。これが地球温暖化を加速させている原因の一つとして考えられています。
さらに、海の中の二酸化炭素が増えてしまい、海の生き物にも影響を与えてしまいます。海の中の酸性化が進み、水温も上がるので、住みにくくなるのです。
本題はここから。
では、この海のピンチを救うにはどうしたらいいのでしょう。
その手がかりとして注目されているのが「ブルーカーボン」です。
ブルーカーボンとは、主に海藻や海草など海洋生物が吸収した二酸化炭素由来の炭素のこと。ちなみに陸の植物が吸収した二酸化炭素は「グリーンカーボン」と言われています。
二酸化炭素を吸収する海藻や海草を増やすことで、海をできるだけ昔の状態に戻そう、海の負担を軽くしようという考えのもと、各地域で取り組みが行われています。
海藻や海草は一気に増えるわけではありません。地道にいろんな場所で増やす作業をして、しかも継続的に行うという、まさに持続的な活動が必要なのです。その活動を支える大事なことが「多くの人の理解」です。
海が今どんな状態になっているか。まずは知ってもらい、理解して、それから未来のために今は何をすべきかと、自分なりの行動が大切です。
その第一歩として、プログラミングで「海洋生物を海に植え、二酸化炭素を吸収する」ゲームを作ってみましょう!
ここからプログラミングワークショップが始まります。
最初はこれからプログラミングして作るゲームの完成したものが教壇の画面に映し出されます。
アマモ(日本各地に分布する海草)を植え、上から落ちてくる二酸化炭素を吸収する。ひとつのアマモで吸収できる二酸化炭素の量は限られており、限度を超すと消滅。また植えるというゲーム。
これを参加者それぞれのパソコンでプログラミングして、最後は完成したゲームを楽しんでスコアを競います。
実作業は段階ごとにわかりやすいキャッチコピーがつけられて進められるので、とても簡単にプログラミングできます。
例えば
「海の中にアマモを植えてみよう!」。
「リスト」という機能(数や名前をしまっておける引き出しのような役割)を使ってアマモを海の中に植える作業をします。
そして
「ブロックを使ってリストを書きかえる」。
ブロックと呼ばれるプログラムのパーツを使ってアマモリストを書き換えます。ブロックはいろんな指示ができて、リストの中身を増やしたり減らしたり、ゲームのいろんな指示ができるプログラミングの柱。実際のブロック遊びの感覚でプログラミングができます。
このほか「くり返しを使う」、「変数を使う!」、「ロボットをコントロールするプログラム」、「落ちてくるCO2のスピードを変える」、「乱数を使う」などなど、どんどん難しくなっていくのですが、なんと誰一人脱落者は出ません。会場を見守るスタッフがアドバイスやサポートしていますが、それにしても「みんな賢いなぁ」と感心しました。
最後は全員が無事完成し、できたゲームをプレイしてスコアを競いました。こうして大盛況のうち、ワークショップは終わりました。
「プログラミングを使うと、できることが増える」という先生のまとめの言葉はとても印象に残りました。
プログラミングって、いろんな可能性があるんだなぁって。
参加した子どもたちに感想を聞いてみました。
座喜味琉玖くん(10歳)
─ワークショップはどうでしたか?
「面白かった。プログラミングでロボット使ったり、アマモを植えたり、いろいろできたから」
─どんなことを学んだの?
「海が二酸化炭素を吸収していること。それとワカメとか海草で二酸化炭素がなくなるって初めて知った」
─SDGsについて興味を持った?
「まあまあ(笑)、これから考えます」
─またこのワークショップに来たい?
「うん!」
率直な回答ありがとう。
次は仙葉日彩ちゃん(10歳)
─ワークショップはどうでしたか?
「プログラミングを通して、地球に今、何が必要なのかってことが学べて面白かったです」
─どんなことを学んだの?
「海が大変ということは知っていたけど、海草のことは知らなかった。海のことをもっと知れて勉強になった」
─SDGsについて興味を持った?
「はい」
─またこのワークショップに来たい?
「はい」
SDGsについて関心のある様子でした。ありがとう。
湯川虎乎くん(9歳)
─ワークショップはどうでしたか?
「とんでもなく楽しかった」
─どんなことが楽しかったの?
「CO2がどんどん出てきて大変なことになったのが面白かった」
─プログラミングは得意?
「前にやっていたからね」
─会場を盛り上げていたね?
「もともと声がでかいからね」
─またこのワークショップに来たい?
大きくうなずく。
ワークショップでは積極的に回答したり、手を挙げたり、盛り上げてくれました。ありがとう。
主催者のコメントももらいました。
答えてくれたのは一般社団法人イエローピンプロジェクトの三輪愛美さんです。
─「プログラミングで海のSDGs!」が始まったきっかけはなんでしょうか。
はい。2020年から小学校でプログラミング教育必修化が始まる時にあわせて、単なるプログミングの学びでは無く、プログラミングが社会課題の解決に役立つことを伝えたいと考えました。その時には、まだ世の中にはSDGsは浸透していませんでしたが、SDGsの目標に向かって、プログラミングやICTが課題解決に重要な役割をはたすことを、プログミングの学びを通して、子どもたちに気づいてもらうために「『プログラミングでSDGs !』というキーワードで2019年から活動を始めました。中でも目標14の「海の豊かをまもろう」をテーマにした活動が、「プログラミングで海のSDGs!」になります。
─イベントを通じて子どもたちへ伝いたいことはなんでしょうか。
そうですね。ICT(情報通信技術)を使うことは、SDGsの目標の達成に重要であること。そして、今学んだプログラミングがICTの基礎であり、プログラミングを学ぶことは、将来的な社会課題解決につながっていること。そして、社会解題を解決して行くことで、みんなが幸せに暮らせる社会を実現出来るということ、楽しんで学んで行くなかで、ポジティブな想いとして伝えていきたいと思います。
─今後の活動予定をおしえてください。
ワークショップは2023年度で決まっているの は、1月14日(土)中目黒 で実施します。また、出前授業も行っており、都内近郊小学校やオンライン実施を予定しています。
興味のある方は、ぜひホームページをチェックしてみてください。
プログラミングでSDGs! | 新しい社会のまなび プログラミングでSDGs! (programming.or.jp)
ありがとうございました。
SDGsって、いろんな活動のやり方があるんだなぁと勉強になったイベントでした。
またレポートします。
おわり。