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自分たちの未来を考えよう! 「豊島区こども未来国連会議」に行ってみた 前編

 

「豊島区こども未来国連会議の参加者。小学4~6年生の約50人

こんにちは。みなさんは「こども未来国連会議」って、知っていますか?

「こども未来国連会議」とは、世界中の子どもたちが集まって、SDGs問題はもちろん、平和で豊かな世界について、表現して、語り合うなど、“ピース・コミュニケーション”の場として2021年に始まり、以来毎年開催されているイベントです。

今年3月の2回目の開催では世界13か国43人の子どもが参加し、「ジェンダー平等」をテーマに、グループでアイデアを出し合ったり、グループごとに発表を行ったり、国境や人種を超えた同じ時間を共有した仲間ができ、大変盛り上がりました。

そんな盛況の「こども未来国連会議」の自治体版といえる「豊島区こども未来国連会議」が2022年9月23日に開催されました。

主催した自治体は東京23区のひとつである豊島区です。自治体が独自の「こども未来国連会議」を行うことは、全国初の取り組みになります。

そもそも豊島区は2020年に「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」の選定を受けたSDGsの意識が高い自治体の一つ。2021年からは区立の小中学校で「SDGsの担い手育成事業」を開始。さらに子どもたちがグローカル※1な視点で地域の文化や習慣に向き合い、社会のニーズに合った貢献をすることを目指して、自治体で初めて「豊島区こども未来国連会議」を開催することになったのです。

※1)グローカルとは、グローバル(global)とローカル(local)をかけ合わせた造語。国境を越えた地球規模の視野と、草の根の地域の視点で、さまざまな問題を捉えていこうとする考え方。

しかもこの会議のプレゼンテーションで優秀賞に選ばれたグループは来年2023年3月に開催される「第3回こども未来国連会議」への参加ができるというごほうび付き。

こここから世界がつながっているなんてすごい! 夢のあるイベントですね。参加者のなかでもちょっぴり世界を意識しちゃう子もいたりして。

司会進行兼審査員を務めたジャーナリストの堀潤さん
審査員は、写真上左から早稲田大学理工学術院 教授・朝日透さん、豊島区教育委員会 教育長・金子智雄さん。一般財団法人ピースコミュニケーション財団 代表理事・一木 広治さん、写真下左から株式会社オウルズコンサルティンググループ コンサルタント/ソーシャルPRスペシャリスト・若林理紗さん、WORLD ROAD株式会社 共同代表・平原依文さん、2部からは豊島区長・高野之夫さんも参加しました。

会議のテーマは「住み続けたくなる未来の豊島区」

では、「豊島区こども未来国連会議」をのぞいてみましょう。

会場は豊島区役所です。テーマは「住み続けられる未来の豊島区」。

第一部はワークショップ。第二部はプレゼンテーションの二部構成。最後に表彰式が行われます。

豊島区の小学4~6年生の約50人が参加。10グループに分かれてグループごとに「住み続けられる未来の豊島区」をそれぞれ考えます。

「初めまして」の人たちが集まって、ちょっと緊張気味に始まったワークショップ

今回のワークショップの流れは大きく分けて4つあります。

1 アイデア出し

2 アイデアのグルーピング

3 アイデアの掘り下げ

4 図解化/発表内容の話し合い/プレゼン発表準備

1の「アイデア出し」は、「住み続けられる未来の豊島区」について、どんなことでも良いので思いつくことはなんでも紙に書いて机の上に披露し、グループのみんなに知ってもらいます。

「これは違うかな、こんなこと書いたら変かな」なんて思って頭のなかでボツにしてしまったら、もったいない。

あとでボツになっても良いのです。まとまらないならキーワードだけでもOK。君がなんとなく出したアイデアやキーワードを他の人が知って、それをヒントにさらなるアイデアが広がり、みんなで考えてより良いアイデアに辿り着くことって、大人の世界ではいつもあることなんです。

良い議論は意見交換が活発なんです。もじもじして言いたいことを言えないともったいない。

とはいえ、参加者のほとんどはこの会場で初対面。みんな何となく照れ臭そう。会話もポツリポツリだし、なかなかアイデアもでない(恥ずかしくて出せないのかな)ようです。

各グループをリードするサポート役のお兄さん、お姉さんに促され、徐々に没入していく子どもたち。

そんななか早々に机の真ん中をアイデアが書かれた紙でいっぱいにしたりする積極的なグループもいたりして、そんな勢いある空気も手伝って、いつのまにか会場は子どもたちの声で充満していました。

とても興味深い、ユニークなアイデア&キーワードが次々と張り出されます。

だんだん声が大きくなって会場がにぎやかになってきました。

アイデアの一例を見てみましょう。

「緑をふやす」

「渋滞がない」

「外国の人と遊ぶ場所がほしい」

「固定概念をなくしたい」

「夜に外に出ると危ない」

「都電をもっと知ってほしい」

「一人になってしまっている子がずっといられる場所がほしい」

「校庭をもっと広くして」

「お年寄りや障碍者が住みやすい場所」

などなど。

テーブルの上に徐々にアイデアが集まります。審査員の人たちも立ち寄ってアドバイス。

アイデアをグルーピングして考えをまとめる

ひと通りアイデアがでたら次は

②のアイデアのグルーピングです。机の上に出たアイデア用紙を分類別にまとめます。好きに思いついたことを並べましたが、これを整理する作業です。バラバラが意見のように見えて、よく考えると同じ分類になることって結構多いんです。

分類のテーマは「自然」「環境」「安心」「安全」「街」「観光」など、さまざま。テーマ作りもセンスが問われる作業です。

アイデアによっては独特の意見すぎて「これは何の分類になるのかな」なんて頭を悩ますシーンもありました。

こうしてまとめていくと自分たちグループのやりたい方向や意見が少しずつ見えてきます。

そしてグルーピングしたアイデアの掘り下げという作業に挑戦。みんなで方向性を相談してアイデアを整理し、実現するための具体的なプランを話し合います。

積極的な子がリーダーシップを発揮するグループ、静かでもきちんと自分の意見を言い合うグループ、脳をフル回転させてアイデア用紙をみんなで見つめて考えるグループ、サポーターのお兄さん、お姉さんを会話しながら考えをまとめていくグループなど、この頃になるとグループにも個性がでてきました。

イラストも描いてプレゼン資料をまとめる

最後は④の図解化/発表内容の話し合い/プレゼン発表準備です。

みんなでまとめたアイデアや考え方をプレゼン資料として作成します。

  • 私たちの目指す住み続けたくなる未来の豊島区の「タイトル名」
  • 「タイトルの詳しい説明」
  • 「実現するために自分たちは何をする?」
  • 「実現するために大人たちには何をしてもらう?」

この項目にまとめたことを書き込み、イラストを添えて完成です。

イラストに色鉛筆を使ってより分かりやすくカラフルに描いたり、グループのメンバー全員のイラストを切り張りしたり、ことらもアイデア豊富な作業となりました。

みんな真剣にプレゼン資料作り。

15時。こうしてプレゼン資料を完成させ、全グループが提出して第一部は終了しました。

みんなお疲れ様でした!

終わってみて

やり切った充実感なのかな?

緊張から解放されたからなのかな?

友達できてうれしかったのかな?

理由はわからないけどみんな優しい笑顔になっていたのが印象的でした。

休憩中に参加したみんなの声を聞いてみた!

お疲れのところ、感想を突撃インタビューしちゃいました。

Hグループのみなさん。

「はじめて会った友達と一緒にいろいろアイデア出したりして楽しかったです」

「みんなの意見を聞いて改めてみんなの普通と私たちの普通が違うなってわかりました」

「みんなと一緒にSDGsのことを考えてよかったです」

「考えることはできることはできるけど、実際にこうやってカード(紙)に書くことはなかったのでいい事だと思います」

サポーターのお姉さんにも一言。

「みんな小学生なんですけど、私も考えさせられるぐらい深い議論ができて、すごいいい機会だなって思いました、楽しかったです」

Hグループのみなさん。

もうひとつ無理を言ってJグループのみなさんにも聞いてみました。

「発表することを考えて、議場で発表できることが嬉しい」「作るのは難しかったけど楽しかったです」

「来る前に資料を作ってきたのが役に立った。グループの人と供してできるのが凄い楽しかった」

サポーターのお兄さんにも一言。

「みんな首尾よくやってくれて、僕はあまり介入する余地がなく、優秀なグループでした」

Jグループのみなさん。

みんなありがとう!

良い経験になったね。大人から見ても頼もしい姿でした。

改めて思うこと

今回のテーマは「住み続けたくなる未来の豊島区」ですが、これって自分の街に置き換えられるよね。

きちんと考えたことなかったなぁ。

彼らを見ていて真剣に考える場があるって良いきっかけだなぁって羨ましく思いました。

こういう話題って、家族や友達、クラスのみんなで話し合うことでいつでもできるよね。ぜひ試してみようよ。

思っていることを発表するって勇気がいるけど、とても大切なことだよね。

ここで休憩が入り15時30分から第二部へ

グループごとにすっかり仲良くなった子どもたち。

最初はもじもじしていたのにすっかりおしゃべりも弾んでいます。

 

休憩中にこんな声も聞こえてきました。

「ねえ、今日一緒に帰ろうね~」

「うん、帰ろう、帰ろう」

「私たちが優勝しちゃったらどうする~」

「え~すごい、どうしよう」

心地良いおしゃべりを耳にしながら第二部会場へ移動。

次の会場は特別な計らいで、なんと豊島区議会をおこなっている議場です。

 

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