目標1:貧困をなくそう

スパイスの生産地の人々の生活と健康を守るために エスビー食品の取り組み

カレーのスパイスは世界各国から!

カレーには、さまざまな香りのよいスパイスやハーブが使われています。代表的なものがこしょう、唐辛子、ローレル、シナモン、ターメリック、カルダモン……。これらはもちろん、地の恵みである天産物。日本から遠く離れた海外の人たちによって、生産されているんです。

熱帯アジア原産の香辛料、ターメリック畑の様子(画像提供:エスビー食品)

カレーに欠かせないスパイスの一つ、ターメリックは熱帯アジア原産とされるショウガ科の熱帯植物。現在の生産地はアジアやアフリカなど世界中に分布しています。

乾燥後のターメリック。このスパイスがカレーの黄色!(画像提供:エスビー食品)

また、カレー以外の料理でもよく使われるスパイス、こしょうはインドのマラバル地方原産といわれています。多年性のつる性植物で、そのつるはなんと長さが9メートルを超えることもあるそうです!! そのつるになった実を乾燥させたものが、おなじみのこしょうです。現在ではインド、マレーシア、インドネシア、ブラジルに加えベトナムなど世界各地で生産されています。そのほかシナモンは中国やスリランカ、コリアンダーシードはモロッコ、カナダなどさまざまな国で栽培されたものが日本に輸入されています。

収穫されたこしょうの実(画像提供:エスビー食品)

 

生産地の人々の生活と健康を守るために

ところでわたしたちの身の回りでは、途上国で生産された日用品や食べものが、とても安い価格で販売されていることがあります。その安さを生み出すためには、生産者にきちんとした賃金が支払われていない、生産性を上げるために必要以上の農薬が使用されることにより環境破壊や、生産者の健康被害につながる……といったさまざまな犠牲が払われています。

こしょうの収穫(画像提供:エスビー食品)

 

経済的な利益よりも人と環境を優先するのがフェアトレード

そこで近年、注目されているのが「フェアトレード」です。フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」。つまり、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。また、品質のよいものをつくり続けるためには、生産者の労働環境や暮らしが保証されるとともに、自然環境を破壊しないことも重要です。

スリランカのシナモン農園(画像提供:エスビー食品)

大正12年(1923)、日本初の純国産カレー粉の製造に成功し、現在も香辛料のトップメーカーとしておなじみのエスビー食品株式会社。事業を通じたSDGsへの取り組みについて、広報・IR室の中本洋平さんに教えてもらいました。

持続可能な香辛料調達への取り組み

 「地の恵みであるスパイスやハーブの品質や収穫量は、環境に大きく左右されます。そのため、わたしたちエスビー食品では、海外の産地に担当者が足を運び、栽培から輸出までの情報収集と指導を行っています。たとえばトルコ産ローレルは、そのほとんどが地元農家の方々の手で野生(山)から採取されたもの。一度採取した土地では、次の採取まで最低3年空ける厳密な管理により、継続的な採取を可能にしています」

また、2005年からエスビー食品で販売している『オーガニックスパイス』シリーズは、農薬や化学肥料などを使用せず、自然の力で栽培された安全・安心、かつ品質にこだわりのあるスパイスを使用したシリーズです。中本さんはこう説明します。

「『オーガニックスパイス』シリーズは、現在65品目のうち、シナモン、ブラックペッパーなど23品目が国際フェアトレード認証商品です。また、2021年5月に開催された認証団体によるフェアトレードのグローバルイベントにも協賛するなど、フェアトレードの啓発にも積極的に取り組んでいます」

エスビー食品の『オーガニックスパイス』シリーズの売上の一部はWWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)に寄付されているとのこと。そのほか、エスビー食品では持続可能なパーム油の調達の取り組み、持続可能な紙の調達の取り組みなど、次世代につながるよりよい社会づくりや自然環境に配慮した取り組みを進めているそうです。

スパイスを買うときに、ちょっとだけ生産国の人々を想像して商品を選ぶだけでも、世界の人々の健康や暮らし、自然保護活動にも貢献できるのですね!

エスビー食品の『オーガニックスパイス』(画像提供:エスビー食品)